〈ウクライナ侵攻〉ブロック化が始まる世界のエネルギー市場

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 ロシアのウクライナ侵攻が続く中、世界経済に亀裂が生じ始めており、エネルギー市場ではブロック化の流れが急速に進みつつある。

 ドイツのハベック経済・気候相は25日「天然ガスの輸入について、2024年夏にも脱ロシア依存が可能」との考えを示した。調達元の多様化に加え、再生エネルギーの拡大が進めば、24年夏にロシアからの天然ガスの輸入割合を1割に下げられるとしている。

 ドイツはロシアのウクライナ侵攻直前に、ロシアとの新しいガスパイプライン(ノルドストリーム2)の稼働を凍結するなど、脱ロシア依存に動き出していた。ウクライナ侵攻前には55%だった天然ガスのロシア依存の割合は既に40%に下がっているという。

 ドイツはパイプライン輸送ではなく、液化天然ガス(LNG)での輸入も拡大する構えだ。ドイツ政府は5日、国内初となるLNG輸入ターミナルの建設を発表した。完成の時期は早くて3年後、年間消費量の1割に相当する80億立方メートルを賄う計画だ。LNGの主要生産国であるカタールとの間で長期調達契約も締結した。

 欧州連合(EU)も「天然ガスのロシア依存度(4割)を今年中に3分の1までに減らし、2027年にロシア依存から脱却する」との目標を掲げている。決め手となるのはドイツと同様、LNGによる調達の拡大だ。

 欧州諸国は今年1月にLNGを約1200万トン、2月も1000万トン以上輸入しているが、ロシア産LNGの比率が1割強を占める状態が続いている。

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