プーチン 「これで人が殺せる」と呟いた…アメフト「チャンピオンリング窃盗事件」
このリングで人も殺せる
チャンピオンリングは、選手だけでなく経営陣、スタッフにも贈られる。NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)からリング1個あたり5000ドル(約60万円)、150個作るために75万ドル(約9000万円)付与される。もっとも優勝チームは、さらに費用を追加し、高価なチャンピオンリングを作るという。
プーチンに見せたペイトリオッツのチャンピオンリングには、計4.94カラットにもなある124個のダイヤモンドがついていた。
「プーチンはチャンピオンリングを指に填めると、いきなり『このリングで人も殺せますね』と言ったそうです」
唖然としたクラフト氏がリングを返してもらおうと手を伸ばした。
「ところが、プーチンは何を思ったのかリングをポケットの中に入れてしまったのです。すると、FSB(ロシア連邦保安庁)の警備3人がクラフト氏を取り囲み、プーチンは部屋から出て行ったといいます」
困ったクラフト氏は、ブッシュ大統領(当時)の側近に相談。すると外交問題になるのを恐れたのか、リングはプーチン大統領にプレゼントしたことにして欲しいと言われたという。
ところが、8年後の2013年6月、「ニューヨーク・ポスト」紙が、クラフト氏がカーネギーホール主催の名物写真家の功績を称えるメダル授賞式「メダル・オブ・エクセレンス・ガラ」の席上で、プーチンにチャンピオンリングを盗まれたと明かしたと報じたのだ。
2012年にロシアの反政権運動で拘束された27人の無罪を訴えて、6月12日にはモスクワでプーチンを批判する1万人規模のデモが行われていた。
「プーチンがリングを盗んだニュースはアメリカで話題になり、プーチンはとんでもない奴だと批判されました。米上院議員で大統領候補だったジョン・マケインがプーチンにリングを返せとメッセージを送ったところ、それから数年経ってやっと戻ってきました。その時プーチンは、『アメリカ人は心が狭い。だから世界中から嫌われる』と嫌味を言ったそうです」
プーチンは泥棒と言われても仕方あるまい。
「彼は、喧嘩なれしたヤクザみたいなものです。相手国が自国より強いと慎重な行動をとるが、相手国が弱いと見れば、とことんやります。もちろん手段も選びません。ウクライナ侵攻で民間人のいる病院だって、避難所になっている劇場だって攻撃するのは彼にすれば当然のことでしょう」
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