「終戦直前に空襲を経験」 俳優・北村総一朗が明かすウクライナ侵攻への思い

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「舞台人としての責務」

 舞台の稽古は1月に始まったものの、北村はひと月半後に急性すい炎と診断されて緊急入院。8日間で退院を果たしたが、今度は関係者の一人が新型コロナウイルスに感染し、稽古を10日間にわたって中断せざるを得なかったという。

「日程が短くなった分、1日の稽古時間は長くなった。これが体力的にキツくてねぇ。でも、若い世代の出演者が多いから、稽古の合間に僕の体験をもとに、戦争の残酷さや愚かさを伝えるよう心掛けているんです」

 78歳の時に前立腺がんを患い、予定していた仕事を降板した。それでも舞台にこだわる背景には、こんな危機感があるという。

「10年も経てば、僕らのような戦争を知る世代はいなくなる。だから新藤監督の思いを次の世代につなげたい。それが舞台人としての責務だと思っています」

 北村の演出は4作目だが、妻で女優の磯辺万沙子(64)がその舞台に立つのは本作が初。

週刊新潮 2022年3月24日号掲載

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