アウェーでもオーストラリアを圧倒した日本代表 森保監督の「変化」でW杯出場

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森保監督の変化

 この1点で、日本のカタール行きは決まった。そして三笘は得意のドリブル突破からダメ押しの2点目を奪う。相手の足が止まる試合終盤での三笘のスピードは、相手にとって脅威以外のなにものでもない。そしてこのゴールシーンは、新シーズンに向けてビッグクラブへの移籍のきっかけになるかもしれない。それだけ三笘個人にとってアピールになるゴールだろう。

 これで日本は7大会連続してW杯の出場を決めた。これほど苦戦したのは、初戦で格下と思われたオマーンに準備不足から足元をすくわれたこと。そして自分たちのミスから最低でも引き分けなければならない(勝つチャンスもあった)アウェーのサウジアラビア戦で敗れたことが原因だ。

 そこから持ち直したのは、森保監督の変化にある。ホームのオーストラリア戦から4-2-3-1を捨て、中盤に攻守でハードワークのできる遠藤航、守田、田中の3人を起用する4-3-3に変更した。これが見事にハマり、攻撃陣では伊東の覚醒もチームの危機を救った。

新陳代謝の必要性

 その一方で、4-2-3-1のダブルボランチが主戦場の柴崎岳やトップ下の鎌田大地はポジションを失い、久保建英と堂安律も居場所を見つけられないでいる。オーストラリア戦後、ベテランの吉田と長友は引退の危機を口にしつつ、ポジション争いに参戦できる喜びを語った。その思いはベテランの酒井や大迫も同じだろう。そして久保や堂安ら若手選手も悔しさを噛みしめながらポジション獲得に意欲を燃やしているに違いない。

 カタールW杯の出場は決まった。そしてサムライブルーは、「新陳代謝」、「世代交代」という新たな試練を迎える必要がある。23名という“狭き門”への挑戦がベトナム戦からスタートする。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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