アウェーでもオーストラリアを圧倒した日本代表 森保監督の「変化」でW杯出場

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セオリー通りの戦術

 ところが後半になると試合展開に変化が起きた。象徴的なのは後半10分、日本はFKのチャンスを獲得しながらシュートを狙わずボールを回した。いわゆる“時間稼ぎ”である。自陣からパスをつないでは、相手の焦りを誘いつつ時計の針を進める。もしもこれが日本での試合で、ファン・サポーターが声を出すことが許されたなら、パスをつなぐたびに「オーレ!」の大合唱が起こったことだろう。やっと“セオリー”通りの試合展開になり、あとは「イージーミスだけは避けて欲しい」と安心して試合の流れを追うことができた。

 後半19分には長友に代えて中山雄太、浅野に代えて上田綺世を投入。中山は守備固め、上田にも前線からの守備を課しつつ、ミドルの一撃を期待しての投入だろう。この頃になると、日本はCKやスローインを獲得して時間を稼ぐ老獪さも見せた。

 対照的にオーストラリアは、吉田麻也が「後半は相手が体力的に落ちてくるのがわかっていました」と言うように、組織的な攻撃を仕掛けられない。フルスティッチが中盤まで下がって獅子奮迅したが、後半の決定機はゼロ。選手交代も効果はなかった。

三笘と山根の活躍

 そして森保一監督は、残り6分で田中碧に代えて原口元気、南野に代えて三笘薫を起用する。疲労している田中に代えてフレッシュな原口で守備の強度を高める狙いだろう。同じく疲労している南野に代えて三笘の起用は、守備固めと同時に足の止まったオーストラリアDF陣を“個の力”で打ち破れると期待しての投入だと思った。

 その期待に三笘は見事に応えた。それは三笘だけでなく、山根や守田英正といった川崎Fの(現と元の)チームメイトらも同様だった。「薫(三笘)が入ってきたのは1つのメッセージだと思った。引き分けではなく、勝って決めるという。それは全員が感じました」とアシストした山根が振り返る。

 山根が凄かったのは、マーカーの意表を突くアウトサイドでの浮き球を守田に出した技術の高さだが、守田は守田で「(山根と)目が合ったので絶対に入ってくるなと思った。薫(三笘)も入ってくると思ったので、共有できてよかったです」と、しっかりと山根のメッセージを受け取っていた。

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