アウェーでもオーストラリアを圧倒した日本代表 森保監督の「変化」でW杯出場

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「案ずるより産むが易し」という諺があるように、日本は敵地で初めてオーストラリアを破り、7大会連続してW杯の出場を決めた。

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 勝てばW杯の出場が決まる。引き分けでも、最終戦のベトナム戦に引き分け以上でグループBの2位以内が決まるという有利な状況で迎えたオーストラリア戦。警戒すべきは、こうした際に引き分けでもいいだろうという余裕からくる受け身の姿勢とイージーミスだ。

 さすがに日本もオマーン戦やサウジアラビア戦と同じ轍を踏むことはなく、アウェーでもオーストラリアを圧倒した。その原因はスタメンに如実に表われていた。前回のオーストラリアとの対戦から、日本は右SB山根視来、CB板倉滉、1トップ浅野拓磨の3人がスタメン出場を果たした。いずれも負傷で代表を辞退した酒井宏樹、冨安健洋、大迫勇也の代わりである。

 一方のオーストラリアは、前回の日本戦にスタメンで出場したのはGKマシュー・ライアン、CBトレント・セインズベリー、MFマーティン・ボイルとFWアルディン・フルスティッチの4人だけ。フルスティッチは前回の対戦でFKからゴールを決めているが、その時のポジションはボランチ。その彼を2トップに起用しなければならないほど、オーストラリアは主力のアーロン・ムーイら6選手がコロナに感染したり濃厚接触者だったりして抜けていた。

豪州のカウンター

 力の差は歴然。しかし不安もあった。引き分けでもいい日本が立ち上がりから果敢にプレスをかけ、サイドから伊東純也や山根、長友佑都が攻撃を仕掛ける。そして勝利を求められるオーストラリアはリトリートして守備を固め、カウンター狙いという試合展開になったからだ。

 グラハム・アーノルド監督にしてみれば、これしか日本を倒す方法はないと判断したのかもしれない。最低限のノルマとして日本は“勝点1”を持ち帰らなければならないのに、攻勢に出てカウンターを食らう場面に冷や冷やしたのは筆者だけではないだろう。W杯の最終予選、それも出場権のかかった試合で、正直これほどオープンな打ち合いのスタートになるとは想定外だった。

 不安はそれだけではない。日本はサイド攻撃から最後は南野拓実が決定的なシュートを放ったものの、いずれもクロスバーに嫌われた。こういう時は、南野が何度トライしてもゴールを決められない「ナット・ヒズ・デイ」というやつだ。

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