ロシア産原油の輸出が減少するのに原油価格はなぜ急落したのか

国際

  • ブックマーク

Advertisement

「リーマンショック」の際は…

 世界経済を圧迫していた原油高は一息ついたが、市場の動揺は収まっていない。

 米証券取引委員会(SEC)は14日、トレーダーなど市場参加者に対し、カウンターパーティー(取引先)リスクへの警戒を続けるよう異例の呼びかけを行った。商品市場で起きた異例の事態を踏まえての措置だが、リーマンショック直後もカウンターパーティーリスクという言葉が飛び交っていたのを思い出す。リーマンショックのような事態が2度と起きないよう、世界の金融市場で厳格な規制が講じられたが、例外的に規制が導入されなかった商品市場でリーマンショックのようなパニックが起きてしまった。

 リーマンショックが起きる2ヶ月前に原油価格は史上最高値(1バレル=147ドル)から急落したことから、「原油価格の高騰・急落はリーマンショックの予兆だった」と指摘する専門家は少なくない。コロナ対策として実施された超金融緩和政策によりバブル化している世界経済を憂う専門家の中で「原油価格高騰が次の金融危機の引き金になる」と危惧する向きもある。

 原油市場の高騰・急落が次の金融危機の予兆でないことを祈るばかりだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。