広陵が敦賀気比を粉砕!プロ注目のスラッガーが並ぶ「強力クリーンアップ」の恐るべき実力

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原動力は「強力クリーンアップ」

 雨天順延により、予定より1日遅れとなる3月19日に開幕した選抜高校野球。出場32校が全て登場するまでの期間、目に付いた選手、プレーについて独自の視点から掘り下げて、現地からレポートしていきたい。今回は、20日に行われた第2日目だ。【西尾典文/野球ライター】

 この日、最も注目を集めたのは、第1試合の敦賀気比(福井)と広陵(広島)の対戦だ。いずれも選抜優勝経験のある強豪で、昨年秋の地区大会優勝校同士の対戦ということもあって接戦が予想されたが、終わってみれば、広陵が9対0と敦賀気比を圧倒する結果となった。

“広陵圧勝”の原動力となったのが、今秋のドラフト候補であるスラッガー・内海優太をはじめ、「広陵のボンズ」と呼ばれる2年生強打者・真鍋慧、2年生で5番を打つ田上夏衣の「強力クリーンアップ」である。3人揃って3安打の猛打賞を記録して、中軸の役割を完璧に果たした。特に、内海と真鍋が放った打球の速さには、甲子園に詰めかけた観衆から思わず“どよめき”が起きるほどだった。

 大敗を喫した敦賀気比は、今大会で3季連続の甲子園出場で、前述したように昨年秋は北信越大会を制しており、決して力のないチームではない。エースで4番、キャプテンも務める上加世田頼希は、中学時代にU15侍ジャパンに選ばれ、最速144キロを誇る北信越で屈指の好投手である。

「決め球」と「内角」

 そんな上加世田でも広陵打線を抑えきれなかった要因は、どこにあったのだろうか。上加世田本人、敦賀気比・東哲平監督は試合後、敗因についてこう語っている。

「試合の前から、(バッターに)当ててもいいくらいに内角を攻めようという話をずっとしていました。(打たれたボールの)高さは良かったと思いますが、あとボール半個分くらい(バッターの体に近いところに)投げれば良かったです。自分の力不足ということと、決め球がないというのが、(自分の)現状だと思いました」(上加世田)

「上加世田の調子自体は、悪くなかったと思います。ただ、決め球となるボールがなかったのと、内角に、もうひとつ厳しいコースに投げ切れず、(ボールが)中に入ったところをとらえられた。相手のバッターが上だったと思います」(東監督)

 2人のコメントに共通しているキーワードは、「決め球」と「内角」だ。内海(身長185cm体重85kg)と、真鍋(身長189cm体重91kg)は、いずれも高校生離れした体格とパワーを誇るスラッガー。リーチが長い分、内角の速いボールには対応が難しいと考えるのが自然だろう。

 上加世田の「当ててもいいくらいに」という言葉からも、試合前からその狙いを持っていたことが伺える。ところが、広陵のクリーンアップは、敦賀気比の想定を上回る打撃技術を備えていたのだ。

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