接種後死亡者の死因に「コロナワクチン」 法医学の権威が明記した理由…補償金4420万円の初適用となるか

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補償はなされるのか

 医師で、東京大学大学院法学政治学研究科教授の米村滋人氏によれば、

「現在の救済制度は、あくまでも“国が給付金を支払うかどうか”に主眼を置いた設計なので、認定のハードルは高いと思います。また、“ワクチンが原因で死亡した”ケースについてのまとまったデータが存在しないため、因果関係を証明するのはかなり困難でしょう。日本は諸外国よりも時間をかけ、副反応のリスクが低いことを確認してからワクチンを承認しました。裏を返せば、少数とはいえ副反応が生じた場合に、救済認定を受けるのが難しくなってしまうわけです」

 もちろん、ワクチン自体の意義を否定することはできない。感染予防や重症化リスク回避という意味で、ワクチンが果たす役割が大きいのは間違いなかろう。

 そうした点を踏まえた上で鈴木氏が語るには、

「ここまでコロナ禍が拡大した以上、ワクチンを打たないわけにはいかないでしょう。ただ、ワクチンを接種した際の免疫反応は人それぞれ異なります。重篤な副反応が起こらないとは誰にも断言できません」

 ワクチン接種のリスクをゼロにはできまい。それゆえ、制度が設けられている以上、疑わしい事例についてはオープンな検証と議論を続け、補償すべきは補償する――。

 ワクチン行政にとって、そうした姿勢こそが信頼醸成や社会的コンセンサス形成のカギになるはずだ。

週刊新潮 2022年3月17日号掲載

特集「『補償金4420万円』の初適用となるか “法医学の権威”が『接種後死亡者』の『死因』欄に『コロナワクチン』と明記した理由」より

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