ビッグボス・新庄監督にとって「清宮の5年目のブレイク」が最大の隠れテーマである理由

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本当にまた打ちよった

 日本ハム・清宮幸太郎は、5年目を迎える今季も開幕スタメンに手が届かないと見られている。ライバルたちがここまでのオープン戦で結果を残す一方、期待に応えられていない中、ビッグボス新庄剛志監督以下、この未完の大器の覚醒に躍起になっているのだという。その理由に迫った。

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 清宮とは対照的にチーム内のライバルは猛烈にアピールを続けている。8日のロッテ戦(鎌ケ谷)では高卒3年目の万波中正が終盤に代打で同点3ランを放ち、ビッグボスこと新庄剛志監督も思わず「本当にまた打ちよった」と感嘆の言葉を口にした。

 6日の巨人戦(札幌ドーム)でも万波はバックスクリーンに豪快な一発を叩き込んでおり、長打力への評価は高まる一方である。さらには9日のロッテ戦でも3試合連発となる4号3ランが炸裂。キャンプ中の練習で外野ポジションの守備も視野に入れながら“あたふた”していた1歳年上の清宮に差をつけ、早くも右翼手として開幕スタメンを確保しそうな勢いで突っ走っている。

簡単に見捨てるわけにいかない事情

 清宮が定位置としたいはずの一塁手も、佐藤龍世や王柏融らが参戦し鎬(しのぎ)を削る“激戦区”ポジション。さらに8日のロッテ戦では、オープン戦初出場の25歳・高濱祐仁までもが「6番・一塁」でスタメンに名を連ねて激戦に加わった。結果は高濱が4打数4安打の固め打ちを見せ、存在感を示したといえる。

 さらには一、三塁の守備をこなすレナート・ヌニェス、そして二、三塁および遊撃、外野のポジション経験があるアリスメンディ・アルカンタラの元メジャーリーガー新助っ人2人も清宮にとっては強力なライバルとなる。DHも近藤健介が軸になるとみられており、普通に考えれば目の覚めるような打棒大爆発でも見せつけない限り、清宮の入り込む余地など残されていない。

 だが、窮地の清宮をそう簡単に見捨てるわけにいかない事情がビッグボスにはあった。ここまでレギュラーは「全員白紙」と、フラットな目線で戦力を見極めることを公言してきた新庄監督だが、前回お伝えしたように、その方針とは裏腹に中日・立浪和義監督に清宮のマンツーマン指導を懇願したり、フロント業務に専従するとみられていた稲葉篤紀GMをグラウンドに連れ戻し、キャンプ中から左打者限定の打撃指導を行わせたりと、清宮に対する過保護ともいえる戦略がやたらと目に付く。まるでビッグボスも含めたチームや球団側が一丸となって未完の大器の覚醒に躍起になっている様子だ。

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