銅像も辞退の盗塁王・福本豊が語る真相 「死んだ後に語り草にでもなれば本望」

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 齢を重ねるほど人間は地位や名誉に恋々とするというが、さすがは名球会にその名が刻まれた“世界の盗塁王”は粋である。この度、ゆかりの関西に銅像が建てられる動きがあったが、これを拒否。ご本人に直接、真相を尋ねてみると……。

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「そんなんもらったら、立ちションベンもできんようになるがな。国民の手本にはならへん。無理や」

 1983年、時の中曽根康弘総理から国民栄誉賞の授与を打診された福本豊(74)は、こう話して辞退したという。

 阪急ブレーブスの黄金時代を支えた福本は、72年に当時の世界最多記録となる1シーズン106盗塁を達成。83年にはルー・ブロックが持つメジャーリーグ記録を上回る通算939盗塁を樹立して、“世界の盗塁王”とたたえられた。未だ日本では破られていない盗塁最多記録。その日から50周年の節目を迎える2022年に合わせ、球界では再び福本の偉業をたたえようと、銅像を作る計画が水面下で進んでいたという。

「福本さん本人に打診したのですが……」

 さるプロ野球関係者はこう明かす。

「銅像を計画したのは、福本さんが長年評論を担当する「スポーツ報知」の親会社・読売新聞グループです。候補地としては、かつて阪急ブレーブスの本拠地だった兵庫県の西宮球場跡地か、ブレーブスの後身、オリックス・バファローズの本拠地である大阪の京セラドームが検討され、昨年9月に仲介者を立てて福本さん本人に打診したのですが……」

 結論から先にいえば、昨年末に断られてしまったそうだ。福本は障害者野球の支援にも尽力しており、普及活動の一助にもなると口説いたものの、了解をもらえなかったというのである。

 真偽を読売に尋ねると、

「福本氏は長く『スポーツ報知』の専属評論家を務められているご縁があり、読売新聞大阪本社は福本氏の偉業を顕彰し、野球文化の振興を図ることを目的として記念モニュメントの設置などを企画し、報知新聞社の大阪本社とともに昨年、福本氏に提案いたしました。今回は実現には至りませんでしたが、読売新聞グループとして、今後も野球の魅力を広く伝え、次代に受け継ぐ取り組みを続けてまいります」(読売新聞グループ本社広報部)

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