ウクライナ侵攻を巡る我慢比べ ロシアと米国のどちらが先に音を上げるのか

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 ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻したが、ウクライナ国民の抵抗もあり、米国などが当初予想していた以上に戦闘が長引いている。

 2014年のクリミア併合時にはプーチン大統領の支持率は急上昇したものの、今回はそうはならないようだ。ロシア国民の過半数は「ウクライナの親ロシア系住民を保護する」とするプーチン大統領の目的を支持しているとされているが、各地で反戦運動が広がっている。

 ロシア経済も深刻な打撃を被っている。

 ロシアの大手7銀行が国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済ネットワークから排除されるなど極めて厳しい経済制裁が科され、食品から自動車に至るまで数多くの外国企業がロシアでの事業停止を決定する事態になっている。

 JPモルガンは3月3日「ロシア経済は今年第2四半期は35%、通年では7%縮小し、財政危機に陥った1998年に匹敵する景気縮小に見舞われる」との見通しを示した。

 通貨ルーブルが急落し、インフレが高進したことでロシア国民の生活は火の車だ。

 銀行など金融機関から2兆円以上の資金が引き出されるなど信用危機になりかけたが、政府が資本規制や金利引き上げなどの緊急措置を講じると取り付け騒ぎは鎮静化した。ソ連崩壊後に何度も取り付け騒ぎを経験しているロシア国民にとって、この程度の混乱はたいしたことではないのかもしれない。

 3月3日付ブルームバーグは「ロシアの消費者はパニックよりも諦めの境地にある。国際社会が経済制裁に動く中で新たな現実への対応を余儀なくされている」と報じた。1990年代に非常に厳しい耐乏生活を経験している中高年齢層にしてみれば、「あの頃に比べたらマシだ」ということなのだろうか。

 国際社会による厳しい経済制裁で日常生活は今後も悪化し続けることだろうが、ロシア国民が音を上げ、「プーチン降ろし」に走る可能性は低いと筆者は考えている。

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