ウクライナ侵攻で世界各国の諜報機関がSNSに齧り付いている…「こたつCIA」の驚くべき実情

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フェイクニュース問題

 イギリスBBCの日本語版サイトは2月25日、「SNSで誤情報与える動画や画像が多数拡散、ロシアのウクライナ攻撃」との記事を配信した。

 実際の戦争だけでなく情報戦も熾烈を極めている。当然ながら、SNSに投稿されている動画や画像には虚偽のものも少なくない。

「各国の諜報機関も、SNSの投稿を『これは事実なのか、フェイクなのか』という調査は徹底して行っているようです。まずは専門家がアカウントを追跡します。すると、ロシア側と思われる人物が偽装して作ったアカウントだと判明することがあるそうです」(同・自衛隊関係者)

 更に今回、アメリカは衛星写真など、本来であれば国家機密級の情報を積極的に公開している。

「ロシアに『こちらは全てを知っているぞ』と牽制するためですが、衛星写真はその他の諜報機関にとって、Twitterの投稿が事実かフェイクかを判別するのに最高の判断材料だと言えます。投稿された動画に映り込んだランドマークや地形と衛星写真を整合することで、本当に撮影された場所にいる可能性が高いか低いか、判別することができるからです。軍関係者だけでなく、一般市民ですら、そうした整合作業を行いフェイクを拡散しないように気をつけています」(同・自衛隊関係者)

こたつ「OSINT」の威力

 ネット上で検索をすると、結果を検索エンジンなどが記憶し、次の検索に活用しようとする。例えばAmazonで太宰治の小説を検索すると、それ以降、太宰の多作品が収録された文庫などが「お勧め」として表示された経験は誰にもあるだろう。

「同じことが諜報機関でも起きているのです。専門的な知識を持つプロがウクライナ国民によって投稿された動画や画像をSNSで検索すると、それを人工知能(AI)が覚えてくれるのです。後は勝手に『こんな動画もあります、こんな画像もあります』とAIが教えてくれます。諜報に詳しい関係者は『検索の手間すらありません』と苦笑していました」(同・自衛隊関係者)

 もともと諜報の分野では、「オープン・ソース・インテリジェンス(OSINT)」という手法が知られている。

「スパイや諜報機関と聞くと、007のように敵の心臓部に接近し、極秘情報を入手するというイメージが浮かびます。それは決して嘘ではありませんが、敵国が公にしている経済統計などを精査するだけでも、重要な情報は得られるのです。それがOSINTという手法です。今回、ウクライナ侵攻によりSNSで起きていることは、OSINTに有益な情報がネット上にごろごろ転がっているという事実です。諜報の歴史が変わっている瞬間に、私たちは立ち会っていると言えます」(同・自衛隊関係者)

註1:Ukrainians Google ‘how to make a molotov cocktail’ after defense minister’s call to arms (February 25, 2022 at 10:17 a.m. EST)

註2:27мсбр-т90м-13022022 (Алексей Карпычев 2022/02/17)
https://www.youtube.com/watch?v=JcaNroQxs_E

デイリー新潮編集部

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