清原和博は沖縄で負傷者を救出! 火災現場から幼子救出、痴漢逮捕も…人助けに協力したプロ野球選手たち

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「特別いいことをしたとは思わない」

 一方、ドラフト1位指名を受けた直後に、人命救助で表彰されたのが、西武・森友哉だ。大阪桐蔭の捕手・森は、2013年10月24日のドラフト会議で西武から単独1位指名を受け、「気分はサヨナラ逆転満塁ホームランです!」と喜びを爆発させた。

 ドラフト前は「12球団OK」を表明していたが、高校の先輩・中村剛也や浅村栄斗(現楽天)がいる西武は「意中の球団」だったからだ。そして、「ずっとレギュラーで40歳近くまで正捕手ができるのが一番良いと思います」とでっかい目標を掲げた。

 それから約3週間後、11月16日午前7時25分ごろ、大阪市内環状線の新今宮駅ホームから目の不自由な70代の男性が誤って線路に転落した。たまたま一緒に登校中だったチームメイトが目撃し、「森、行くぞ!」と声をかけた。

「いきなり声をかけられて、自分は何かわからなかった」という森だったが、「ついて行ったら、おじいちゃんが倒れていて……」と、ただならぬ状況に気づいた。

 4、5分おきに電車が来る危険な状況だったにもかかわらず、「アドレナリンが出た。まあ、イケるやろ」と、2人で1.5メートル下の線路に飛び降り、男性をホームに持ち上げて無事救出した。

「特別いいことをしたとは思わない。当たり前のこと」という理由から、2人は名乗ることもなく、そのまま登校したが、持っていたカバンに「大阪桐蔭高校野球部」と書かれてあったことから、その後、救出したのが森たちだったと判明。12月9日にJR西日本大阪支社から感謝状が贈られた。

「ここまで大ごとになり、びっくり」とはにかんだ森は、「次は非常ベルを押してから助けます」と自戒することも忘れなかった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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