「藤井聡太」発言で注目の森林限界 「富士山登山鉄道」は実現するか
決して夢物語ではなく…
ここまで念入りにシミュレーションされているにもかかわらず、富士山登山鉄道の起点となる駅は、既存の鉄道駅とは離れた場所が想定されている。環境面を配慮した鉄道ならば、既存駅に接続した方が、より効果は高いようにも思えるが……。
「計画段階の富士山登山鉄道の起点から至近にあるのは、約1.7キロメートル離れている富士急行の河口湖駅です。同駅の周辺は住宅街なので、現段階で線路を建設することは難しいと考えています。それらの事情を考慮し、構想段階では河口湖駅から離れた場所にしています」(同)
富士山登山鉄道の実現にあたり、山梨県は政財界から意見を聞くだけではなく、実際に鉄道事業者を訪ねて視察も実施した。特に、LRT建設を進めている栃木県宇都宮市と山岳路線で知られる箱根登山鉄道を参考にしている。
現在、叩き台となっている資料は、それらの知見も踏まえて作成された。この資料を元にして、今後は県民をはじめ多くの人たちから意見を募り、歳月をかけて叩き台をブラッシュアップしていく予定だ。
山梨県が作成した資料には、イメージ図に赤い車両が描かれている。あくまでイメージだが、長崎知事はこの図を気に入らなかった。そのため、今のイメージ図は改めてつくり直される。
世界に目を向ければ、スイスや中国などで標高3000メートル以上でも列車は運行されている。実現までに時間はかかるだろうが、富士山登山鉄道構想は決して夢物語ではない。
ちなみに、これまで森林限界は富士山五合目付近とされてきたが、近年は気候変動の影響もあって上昇しているという。
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