「藤井聡太」発言で注目の森林限界 「富士山登山鉄道」は実現するか

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莫大な建設費、いくらに

 富士山登山鉄道の構想は、2019年に当選した長崎幸太郎知事が選挙出馬時に掲げた公約だった。長崎知事は就任後、すぐに政財界に呼びかけて議論が始められる。その内容を踏まえ、2021年に山梨県は叩き台となる案を取りまとめた。

 山梨県が取りまとめた富士山登山鉄道の構想を見ると、富士急行の河口湖駅から約1.7キロメートル離れた山梨県立富士山世界遺産センター付近に起点駅を設置。そこから富士山五合目までの約28.8キロメートルを結ぶとしている。

「富士山は消防車・救急車などの緊急車両、工事用車両などの通行を確保しなければなりません。鉄道を建設してもアクセス道路をなくすことはできませんが、観光客・登山客用の自動車通行をなくすことができます。それは富士山の環境を守ることにもつながります。富士山登山鉄道の内容はまだ固まっていませんが、どうしても道路は残さざるを得ないので、道路も走れる路面電車にすることや景観面を配慮するために架線レス車両にすることは決まっています」(同)

 架線レスと一口に言っても、バッテリー式の車両にするのか、水素で走る燃料電池車にするのか、はたまた停留所で急速充電する車両にするのかなど、細かな部分は決まっていない。環境面も大事だが、急峻な富士山を登るためには馬力も求められる。このあたりは、今後の検討で決められる。

 また、気になるのが建設費だ。富士山に鉄道を建設するという壮大な構想だから、莫大な建設費がかかることは容易に想像がつく。山梨県は建設費を約1400億円と概算。往復運賃を1万円とした場合の年間利用者を300万人と見込む。このほかに人件費や車両・線路などのメンテナンス費用などが加わるが、山梨県のシミュレーションなら約20年で償還できる試算だという。

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