一枚岩ではないウクライナのロシア感情 西部と東部ではなぜこんなに違うのか

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ウクライナのナショナリズム

 事態が更に複雑なのは、東側を除くウクライナの人々が「反ロシア」で一致団結しているわけではないからだという。

「ウクライナ世論は決して一枚岩ではありません。基本的に、西側ほどナショナリズムが強くなります。西側の住民は『ウクライナの領土はロシアに一片も与えない』という考えでまとまっています。しかし東側へ進むにつれ、ロシアに融和的な人々も増えていきます。“東部地域をロシアにくれてやって終わるのなら、それでいいだろう”という意見の国民も少なくはないのです」(同・ジャーナリスト)

 今後の状況は不透明だが、短期的そして軍事的には、ロシアが勝利を収める可能性が高いという。

「結局、G7(先進7カ国)やNATO(北大西洋条約機構)諸国は、ロシアの軍事行動を押しとどめる方策を持っていません。短期的に見ればロシアの思う壺になったわけですが、長期的には違うかもしれません。これまでロシアと融和的な人々も少なくなかったウクライナは、東部地域の親ロシア派を除けば、今後は『反ロシア』で団結する可能性があります。ウクライナのナショナリズムに火を付けたかもしれないのです」(同・ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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