疑惑判定だらけだった北京五輪を総括 中国選手にはペナルティーが科されず金メダルを獲得

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偽りの民族融和を宣伝する政治ショー

 それを増幅させる存在こそが、トーマス・バッハ会長率いるIOCだという。

 スポーツライターの玉木正之氏はこう指摘する。

「国別にメダルの数を競う金メダル至上主義や、4年に1回というステータスは、すべて五輪という名の商業イベントを盛り上げる宣伝文句と化しています。そうあおることで得られる放映権やスポンサー企業からの収益に加え、関連企業の株式もIOCは大量に保有しており、バッハ会長らは多額の報酬を得ているともいわれています。金儲けのイベント屋となったIOCのスポンサーには名立たる中国企業が入っていますから、その影響力をIOCが無視できない以上、配慮が増すのは当然でしょう」

 改めて福島氏が言うには、

「象徴的なのは、開会式のメインイベントとなる聖火の点灯で、最終ランナーにウイグル人の選手を起用したことです。かつてのナチスドイツもベルリン五輪でユダヤ系の女子選手を活躍させたのと同じ手法を感じますが、人権問題で国際的な非難を浴びている中国にとっては、偽りの民族融和を宣伝する政治ショーに五輪を使ったわけです。秋の党大会で異例の3期目を迎える習近平主席が束ねる専制国家を、結果的にIOCは支持することに加担しているのです。選手に気持ちよく競技に集中してもらおうという姿勢は感じられないといってよいでしょう」

週刊新潮 2022年2月24日号掲載

特集「『羽生結弦』の悲劇からケチの付きはじめ 疑惑判定だらけで熱狂に水を差す トホホ『北京五輪』」より

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