「渡部建」で議論百出 「薬物逮捕より仕事復帰が遅いのはおかしい」という意見を考える

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

 1年8カ月前の不倫報道後、謹慎状態にあったアンジャッシュの渡部建(49)が、千葉テレビの番組で復帰した。この間、さまざまな意見が出た。その1つが「薬物逮捕より復帰が遅いのはおかしい」。とはいえ、そもそも薬物で逮捕された芸能人は復帰できているのだろうか。

 薬物で逮捕されたり、不倫が発覚したりした芸能人が、謹慎しなくてはならないというルールは昔も今もない。

 しかし近年の薬物での有罪確定者の場合、ほとんどが長く謹慎する。また、テレビに2度と出られなくなる人が多い。

 大衆メディアであるテレビに戻って来ることが真の復帰だとすると、薬物での有罪確定者の謹慎より、不倫の当事者の謹慎のほうが長引く例は見当たらない。2020年6月から謹慎入りした渡部も含めてである。

 背景には薬物に対する世間の空気の変化がある。ややもすれば寛容と言えた2010年ごろまでとは全く違う。

 一方、不倫のほうも渡部のように長く謹慎を迫られる人が出てきたのはここ数年。これも不倫に対する世間の空気も変わったからだろう。

 世間の空気が変容すると、それに支配されるスポンサーも変わらざるを得ない。すると民放のテレビ番組には出られない。視聴者がスポンサーであるNHKも同じこと。

 理由が薬物であれ不倫であれ、復帰を許すのは世間の空気だが、日本人は順法精神が強いこともあってか、やはり薬物のほうが厳しい目を向けられている。

近年の「薬物」「不倫問題」の比較

 近年の薬物有罪者と不倫発覚者はどれくらい謹慎しているのだろう。近年の主なケースを見比べてみたい。

■ピエール瀧(54) 麻薬取締法違反(使用)。2019年7月に懲役1年6月、執行猶予3年が確定。2020年2月、映画「ゾッキ」に出演し復帰したものの、テレビ出演はない

■田口淳之介(36)=KAT-TUN元メンバー= 2019年10月、大麻取締法違反(所持)で懲役6月、執行猶予2年が確定。同11月にはシングル曲を配信し、復帰したものの、テレビ出演はない

■沢尻エリカ(35) 麻薬取締法違反(所持)。2020年2月に懲役1年6月、執行猶予3年が確定。初公判で女優業に復帰するつもりはないと明言したが、所属芸能プロダクションとの契約は継続中

■槇原敬之(52) 2020年8月に覚せい剤取締法違反(所持)などで懲役2年、執行猶予3年が確定。今年5月より全国ツアーに臨む。テレビ出演はない

■伊勢谷友介(45) 2021年1月、大麻取締法違反(所持)で懲役1年、執行猶予3年が確定。SNSは同10月に再開したものの、復帰への具体的な動きはない

 不倫は次の通り。

■ベッキー(37) 2016年1月、ゲスの極み乙女。の川谷絵音(33)との不倫が報じられた。そのまま謹慎に入り、同5月に復帰。同月、川谷は離婚を発表。川谷は活動を続けたものの、同9月に未成年だったタレントとの飲酒が報じられ、同バンドは半年間活動を自粛

■原田龍二(51) 2019年5月、複数の芸能人以外の女性との不倫を報じられる。キャンセルとなった仕事はあったりしたものの、謹慎はしていない

■東出昌大(34) 2020年1月に唐田えりか(24)との不倫を報じられた。4社あったCMはすべて打ち切り。放送中だった主演ドラマ「ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~」(テレビ朝日)はそのまま放送。3児をもうけた妻の杏(35)とは同8月に離婚。一方、唐田は今年2月5日に出演映画「血ぃともだち」が公開された(撮影は2019年)。ドラマ出演はなし

■近藤真彦(57) 2020年11月、不倫が報じられ、芸能活動を無期限自粛。2021年4月、所属芸能プロのジャニーズ事務所を退所。同9月から文化放送のレギュラー番組「RADIO GARAGE」が始まる

■中村芝翫(56) 2021年12月、芸能界以外の女性との不倫を報じられた。2016年以来、3度目だった。謹慎したことはない

 薬物の場合、2000年代前半までなら人気があれば、割とあっさりと復帰できた。例えば1999年12月に覚せい剤取締法違反(所持)で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けたシンガーソングライターは2001年9月に音楽番組に出演し、復帰している。

 薬物有罪者の復帰が難しくなったのは2000年代に再逮捕者が相次いだから。容疑は圧倒的に覚せい剤。ロックミュージシャンが、タレントが、女優が、再逮捕された。

 これによって芸能プロに意識の変化がもたらされた。「薬物には依存性がある」。厚生労働省などが古くから繰り返し訴えてきたことであるものの、その認識が薄かった。

 それは世間も同じ。「薬物で逮捕されたら、社会的信用を失うという深刻な問題もあるが、同じように大変なのは依存を断ち切れるかどうか」といった認識が広く浸透したのは近年だろう。軌を一にして復帰を簡単には認めない空気が生まれた。

次ページ:今後は「いかに『空気』に許しを乞うか」

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。