「名乗り出る」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 眞鍋淑郎先生がノーベル物理学賞を受賞されました。眞鍋先生の研究が地球温暖化の理論の基礎を作ったという業績は素晴らしく、1960年代に発表された温暖化予測はその後の50年間で正しいことが実証されました。ノーベルコミッティーの発表とプリンストン大学の受賞記者会見をネットで見ましたが、記者会見の中で「自分の理論が正しいと実証されるのは嬉しいことであるはずだが、それが同時に悲しいことでもあるという葛藤をどう考えるか」という質問がありました。結局、他の質問を先に答えるうちにその話題は流れてしまったのですが、眞鍋先生はどのようにお考えになるのでしょうか、答えを聞きたかったです。

 さて今回の表現はcome forward。非常にシンプルなイディオムで、直訳は「前に来る」ですが、その意味は「名乗り出る」「進んで何かをする」です。漫画でDr. Adamが言っているのは患者さんの息子が生体肝移植のドナーになると名乗り出たということです。come forwardは事故や事件の目撃者や証人が名乗り出る時にもよく使います。

 come forwardの使い方の例は“Despite public appeals by the police, no witnesses of the accident have come forward.”「警察が情報提供を求めたにもかかわらずその事故の目撃者はまだ名乗り出ていない」や、“The Governor has asked banks to participate in his debt relief program for suffering farmers, but no banks have yet come forward.”「知事は苦しんでいる農家の債務免除プログラムへの参加を銀行に求めたが、まだどこの銀行も名乗り出ていない」などです。

 では練習問題です。(答えは下)

1.日本語に訳すと?
“Management has tried to recruit from within the company, but no one has yet come forward.”
2.come forwardを使って英語で言うと?
「もう二人名乗り出てこの事件の被害者は計5人になった。」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年11月18日号掲載

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