三谷史観で北条政子は悪女か聖女か…「鎌倉殿の13人」を盛り上げる3人の女優たち

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 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が評判高い。第4話の終了時点で全話平均世帯視聴率は約15.9%(個人約9.6%)。前作「青天を衝け」のラスト4話より約4.4ポイント(同2.6ポイント)高い。好調の理由の1つは女性の登場人物たちの活躍だろう(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

女性たちが生き生き

「鎌倉殿の13人」の序盤を活気づけているのは女性に違いない。というより、三谷氏が性別を気にせず、登場人物たちに役回りを与えているところが功を奏している。

 時代設定などの都合で、やむを得なかったのだろうが、男性たちの陰に隠れているように見えた「青天を衝け」の女性たちとは異なる。生き生きしている。

 ここまでの物語を盛り立てた女性は3人。源頼朝(大泉洋、48)の最初の妻・八重(新垣結衣、33)、頼朝の現在の妻で北条家の政子(小池栄子、41)、北条時政(坂東彌十郎、65)の後妻で政子の継母・りく(宮沢りえ、48)である。

 1180(治承4)年8月17日深夜、源頼朝に仕える佐々木経高(江澤大樹、46)の放った矢が、伊豆国の代官・堤信遠(吉見一豊、55)の館に突き刺さった。これが端緒となり、4年7カ月におよぶ源平合戦が始まる。第4話の終盤で描かれた。

 経高の矢の話は「吾妻鏡」などの史書に基づくが、三谷氏は新解釈を加えた。開戦までのプロセスに八重を絡ませた。三谷史観だ。

ガッキー演じる八重が放った矢

 八重は平家の家人・伊東祐親(浅野和之、67)の娘で、頼朝との仲を引き裂かれた後、祐親の家人である江間次郎(芹澤興人、41)と再婚させられた。けれど今でも頼朝に心を寄せている。

 頼朝が挙兵をためらっていた時、八重は江間から貴重な情報を聞き出す。平家の家人で伊豆国の目代・山木兼隆(木原勝利、40)が、在宅中であるという話だ。
 山木は頼朝たちが討とうとしている相手だった。不在だったら、無駄足になる。それどころか、相手に手の内がバレてしまう。

 山木が在宅か不在かは頼朝軍にとって喉から手が出るほど欲しい情報だった。しかも山木が在宅なら、その後見人でやはり標的の堤も館にいる可能性が高い。

 八重は山木の在宅を頼朝に伝える。江間の館の川向こうにある北条の館に目がけ、白い布を結んだ矢を放ったのだ。

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