元公安警察官は見た 蓮池さんを拉致した「北朝鮮スパイ」はどこで“背乗り“する日本人を物色したか

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 日本の公安警察は、アメリカのCIAやFBIのように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁へ入庁後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、2人の日本人になりすまし、蓮池薫さんと祐木子さんを拉致した北朝鮮工作員について聞いた。

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 十数年間も日本人になりすまし、旅券の偽造や日本人拉致などを行ったのが、1985年3月に発覚した「西新井事件」の主犯、チェ・スンチョルである。

「彼は2人の日本人に背乗り(スパイが正体を隠すために、実在する他人の身分・戸籍を乗っ取って、その人物になりすます)した、戦後史に残るスパイです」

 と語るのは、勝丸氏。

 チェは1970年8月、石川県能登半島羽根海岸から日本に密入国した。戦前、日本に住んでいたことがあり、日本語を流暢に使いこなしたという。密入国後、大阪在住の在日朝鮮人、金錫斗(キム・ソクト)を土台人(北朝鮮人の工作員が活動の拠点として利用する人間)にした。

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