川崎Fにあって日本代表にないもの サウジ戦で大迫、南野に代えてスタメン起用すべき選手は?

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 海外組は時差ボケと長距離移動で、国内組はオフ明けの始動直後のため、コンディションが万全でないことは理解できる。それでも中国との実力差を考慮すると、2-0のスコアはもちろん試合内容にも物足りなさが残った一戦だった。

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 W杯最終予選は「内容よりも結果重視」という意見をよく聞く。キャプテンを務めた遠藤航も「勝ったことがすべて。追加点を取れたこともポジティブ」としつつ、「攻撃面はもう少し改善したいな」と本音を述べていた。

 確かに勝った意義は大きい。しかし、それで満足できたのは遥か昔、1980年代に韓国や中国に勝てずW杯も五輪もアジア予選で負けていた時代の話。どう逆立ちしても勝てないけれど、僥倖に恵まれれば一縷の望みがあるかもしれないという“暗黒の時代”の話だったはず。

 ところがいま現在、彼我の実力差は明らかにもかかわらず、日本は相変わらず得点力不足に悩まされている。GK権田修一も「効果的なパスが少なかった」と中国戦を振り返った。その一番の原因は、これまでも指摘したように攻撃に意外性がないことだ。具体例をあげるなら、大迫勇也と伊東純也のプレーになる。

 日本は今予選でどのチームを相手にしても、ボールポゼッションで上回れるだろう。いわゆる「ボールを握る」ことができるわけだ。そして前線で張っている大迫はポストプレーを得意とするため、足元へのパスが基本となる。

 大迫に限らず中盤の3選手、遠藤航、守田英正、田中碧を始め南野拓実、攻撃参加した酒井宏樹、長友佑都らは、この足元へのパスが共通点となっている。

予想されやすい攻撃

 例外はスピードスターの伊東で、彼の場合は足元へのパスからドリブルで勝負させるだけでなく、DFの背後へのスルーパスという選択肢もある。先制点につながったクロスがその見本で、酒井のタテパスに抜け出て左SBの背後を取りクロス。それが相手のハンドを誘発してPKにつながった。

 この伊東だけは足元へのパスに加えてタテパスやスルーパスもあったため、中国の守備網は的を絞れなかった。このシーンと後半の得点以外に日本のチャンスを探すなら、前半38分のプレーだ。

 田中のパスを守田がゴールを背にしてワンタッチでヒールキック。ラストパスを受けた南野はシュートフェイントからマークをずらしてフィニッシュしたが、惜しくもDFに阻まれ右CKに変わった。足元から足元へ、2~3タッチのパスが多い中、ゴール前でワンタッチのパスだからこそ決定機につながった。

「ボールを握る」ことは悪くない。失点のリスクも減る。しかし、川崎Fを例に取ると、右サイドの“緩”の家長昭博、左サイドの“急”の三笘薫がワイドに開いてパスをつなぎながら、どこかでギアアップしてサイドを崩し、決定的な場面を作っている。この“緩急の変化”が日本にはない。単調なリズムでのパス回し、それも足元から足元のため、リトリートして守る中国からすると次のプレーが予測しやすい。

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