42歳「稲本潤一」が南葛SCに加入 注目の「23区内クラブ」で期待される役割

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 人気サッカーマンガ「キャプテン翼」の作者、高橋陽一氏が代表を務める南葛SC(関東リーグ1部)に、前SC相模原で元日本代表MFの稲本潤一(42)が加入した。カズ(三浦知良)の鈴鹿ポイントゲッターズ(JFL=日本フットボールリーグ)への移籍に続く、“ビッグネーム”の下部リーグへの参戦である。

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 両チームとも将来的にはJリーグ参入を目指しているが、J3リーグの下に位置するのがJFLで、さらのその下に全国を9ブロックに分けた地域リーグがあり、南葛SCの関東リーグ1部はこの地域リーグに該当する。J1をトップリーグとすると、JFLは4部リーグ、関東リーグ1部は5部リーグといったところだ。

 そして稲本である。G大阪の下部組織で育ち、高校生でJリーグデビューを果たすなど、その才能は早くから認められていた。1999年にナイジェリアで開催されたFIFAワールドユース(現FIFA U-20世界選手権)では準優勝という快挙を達成。当時のチームメイトである遠藤保仁は磐田で、小野伸二は札幌で、GK南雄太は大宮で、いまなお現役を続行している。

 このワールドユースでの活躍後、フィリップ・トルシエ監督に率いられたU-23日本代表では、2000年のシドニー五輪でベスト8進出に貢献。さらに翌2001年には、元名古屋のアーセン・ヴェンゲル監督が率いるプレミアリーグの名門アーセナルFCへレンタル移籍を果たした。イングランドのプレミアリーグ入りした初の日本人選手でもある。

献身的なプレー

 ワールドカップ・イヤーの2002年4月、テレビ局とのタイアップでロンドンに滞在中の稲本を取材したことがある。インタビュー後、ロンドン北部のバーネットという下部リーグのチームとのリザーブリーグを取材した(1999-2000シーズンから2011-2012シーズンまで「プレミアリザーブリーグ」が開催された)。

 リザーブ(控え)リーグは稲本のようなトップチームでの出番を狙う若手か、負傷から回復してきた主力選手が参加するリーグのことである。稲本はボランチに入り、攻撃参加した味方のカバーリングを黙々と務めていた。ゴールに絡むような派手なプレーではないが、稲本自身も試合後は笑顔で手応えを口にした。

 ただ難しいのは、こうした日本人の献身的なプレーをチームスタッフはどこまで評価するかだ。アフリカから来た若手選手のほとんどはパスをせず、ドリブル突破で自己アピールに専念していた。ゴールという目に見える結果を出して「認められたい」、「早くトップチームに昇格したい」と必死なのだ。このためチームメイトが一番のライバルとまでは言わなくても、チームメイトのためにプレーするなどという発想はまるで感じられなかった。

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