選抜高校野球は問題だらけ 「21世紀枠」以外にもある“不可解な選考方法”

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参加チーム数の地域差も問題

 一般枠の選考で毎年揉めるのが地区をまたがって枠数が決められている関東・東京の6校目と中国・四国の5校目だ。この選考についても、前述したような理由に加えて“地域性”と言った野球とは関係のない部分によって議論され、伝統校や文武両道と言われるような学校が最後の枠に滑り込むケースが目立つ。

「例えば、早稲田実は現在の枠数となった2002年以降、秋の東京都大会で準優勝となったことが2度ありますが、どちらも翌年の選抜出場校に選ばれており、その代表的な事例と言えます」(高野連の関係者)

 これは選抜に限ったことではなく夏の甲子園にも当てはまることだが、甲子園出場の1枠を争ううえでの参加チーム数の地域差も問題ではないだろうか。現在の一般選考枠1つあたりの各地域の高野連加盟校数(2021年現在)を計算してみると、以下のようになった。

北海道:211、東北:184、関東・東京:178、北信越:151、東海:215、近畿:94、中国・四国:86、九州:131

最も少ない地域の倍以上の競争率

 最も少ない中国・四国は「86校に1校」の割合で出場枠があるのに対して、東海、北海道、東北、関東・東京はその倍以上の競争率となっていることが分かる。夏の甲子園でも、神奈川、愛知、大阪などは出場枠を増やすべきだという意見も多いが、選抜についても、もう少し1枠あたりの地域格差を見直すべきだろう。

 あくまで“選抜”なのだから運営側が自由に出場校を選べば良いという意見もあるかもしれないが、現在のようなこじつけに近い理由での選考にはやはり疑問を感じる部分が多い。

 高校野球は“教育の一環”だと言われるが、本来ルールに則ってその勝敗を決める野球において、それ以外の価値観を持ちだすことはやはり無理があると言わざるを得ないだろう。歴史と伝統があり、影響力が多大な高校野球だからこそ、誰もが納得のいく形での大会方式をぜひ検討してもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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