ベンチャーズの88歳「ドン・ウィルソンさん」が死去 生前「週刊新潮」で語った日本愛

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「日本」ドン・ウィルソン

 今年、日本の夏は、それほど暑くないね。毎年来ているから、よくわかる。いまも日本ツアーの最中で、9月6日には中野サンプラザでコンサートをやるんだ。“テケテケ”のザ・ベンチャーズも今年で結成50年!

 1959年にボブ・ボーグルと2人でグループを結成したときはこんなに続くとは思いもしなかった。せいぜいレコードを5枚ぐらい出して終わりだろうと思っていた。でも、いまじゃ270枚以上。ロックの殿堂入りまで出来たんだから、ありがたいね。

 その間、何回日本に来たか、わからない。年に2回来ることもあるからね。

 最初に来日した62年、あのときはライブも酷かったし、食べ物も合わなかった。生魚を食べるなんて信じられない、ってね。

 でも刺身は旨いよ、アイ・ラブ・ハマチ!

 65年の再来日で日本にエレキブームが起きたんだ。全国にご当地ベンチャーズが出来て、ギタリストとしてこれほど光栄なことはない。だから俺たちも稚内から沖縄まで全国を回っている。京都の美しい寺、札幌の雪景色、何もなかった東京がこんな大都会に変わってゆくのも見つめてきた。

日本人より日本に詳しい

 日本人が好きな音楽もわかるようになったから、「二人の銀座」(和泉雅子&山内賢)や「京都の恋」「京都慕情」(渚ゆう子)、「雨の御堂筋」(欧陽菲菲)といった“ベンチャーズ歌謡”も作れたんだ。

 普通の日本人より、日本に詳しいんじゃないかな。鹿児島にセンダイ(川内)って所があるのを知っているかい?

 あれは70年代だったか、川内で台風にあって何日も閉じ込められた。それを日本人に話しても、東北で大きな台風は珍しいと、わかってもらえないんだよ。

 いつまで日本に来るかって? ボブも6月に亡くなったし、あと2~3年かな。

 いや、あのレス・ポールだって94歳で亡くなるまで、毎週ライブハウスで演奏していたんだから、俺もまだまだ日本に来るよ。日本は第二の故郷なんだから。

「週刊新潮」09年9月3日号より

デイリー新潮編集部

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