ワクチン未接種の子どもは富士急ハイランドにも行けない 山梨県知事と堀内ワクチン担当相が外出自粛要請をめぐりバトル

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“県独自の分析”に基づき自粛要請

――ワクチン未接種者に外出自粛を呼びかけるなら、高齢者や基礎疾患のある人には呼びかけないのか?

「外出・移動の自粛要請はしておりません。年齢による区別はしていないということです。年齢別のリスクまでは分析できていないので、根拠がないからです」(同)

――厚生労働省が年齢別のリスクを分析して公表しているが?

「こちらは県内事情を踏まえて、県内に自粛要請を出したということでございます」(同)

 国の分析結果とは別に、あくまで県独自の分析に基づいてワクチン未接種者にのみ外出自粛を要請したということらしい。では、国のほうは山梨県の独自要請についてどう考えているのか。奇しくも堀内詔子ワクチン接種推進担当大臣(56)は山梨県選出の代議士である。その堀内大臣は25日、「一般論」と断った上で、記者団の質問に対してこう答えた。

「接種を強制することや、接種をしている、していないということによって、不当な差別的扱いをされるということは適切でないというふうに思っております」

 堀内大臣といえば、山梨県が誇る企業グループ「富士急行グループ」のオーナー一族の出身。長崎知事とは国会の議席をめぐって何度も戦っており、“犬猿の仲”で知られる間柄だ。とはいえ、ワクチン担当相と県知事がワクチン未接種者の扱いについて意見を異にしている光景は、他県民からみると異様である。

 ちなみに不要不急の外出とは、通勤、通学、通院、ワクチン接種などやむを得ない事情以外での外出を指すという。そこで、山梨県にはこんな質問もしてみた。

――山梨県内の中学生が数人で富士急ハイランドに遊びに行く約束をしていて、うち1人だけがワクチン未接種だった場合、県としては未接種の1人にのみ「遊びに行くな」と要請するということか?

「はい、そういうことです」(有泉政策参事)

 先の厚労省のデータによれば、中学生を含む10歳代の重症化率は30歳代の5分の1、90歳代の390分の1である。これでは県が「不当な差別的扱い」を助長していると批判されても仕方ない気がするが……。長崎知事と堀内大臣の因縁の対立も、ますます深まりそうだ。

デイリー新潮編集部

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