話題のNetflixドラマ「新聞記者」 米倉涼子が演じた記者に現役記者たちが抱いた“違和感”

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 Netflixのドラマ「新聞記者」が話題である。1月13日に世界同時配信がスタートし、24日現在、「今日の総合TOP10」(日本)で2位をキープ。森友文書改ざん事件をモチーフに社会の歪みをリアルに描いた力作と、ネット上では賞賛の声が溢れている。一方、英紙「ガーディアン」は、「新聞ジャーナリズムについて幼稚な見解を示している」「バカ正直なメロドラマ」などと酷評。評価が分かれるが、現役の記者たちはどう見たのだろうか?

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東京新聞読者はスルー

 本作は、東京新聞の望月衣塑子記者がモデル。撮影は同社の社屋で行われたという。東京新聞の記者によれば、

「実際の社会部は8階にあるんですが、生活部と文化芸能部がある7階が使われています。撮影は早朝に行われていました。ドラマではピーコ(共同通信の速報アナウンスサービス)も聞こえてきたし、職場の雰囲気はリアルに描けていたと思います。ただし、昼間からあんなに多くの記者が社会部に詰めていることはありませんがね」

 さぞ、東京新聞もこの反響に喜んでいるかと思いきや、そうでもないという。

「あくまで弊社は制作協力というかたちで、金銭的なメリットはまったくないんです。上層部は思った以上に反響がないとクビをひねっていました。ウチの読者は高齢者が多くて、Netflixの見方がわからないというのです」(同・東京新聞記者)

 ドラマ自体はどう見たか。

「2019年に公開された映画版は、現実と乖離した荒唐無稽な左翼ファンタジーといった内容でしたが、今回のNetflix版は、設定にリアリティがありました。自殺した赤木俊夫さんをモデルにした役や、財務省に口利きを行う首相夫人付の内閣事務官が出てくるところなど、事実に即した描写が良かったと思います」(同前)

エレガントな立ち振る舞いに違和感

 ただ、映画版同様、内閣情報調査室の描き方については閉口したという。ドラマの中で内調は、政府の言いなりとなってSNSやマスコミを操り、国民の印象操作をする“隠密部隊”として描かれている。

「窓のない暗い部屋で、職員たちが黙ってインターネットを閲覧しているなんて、ありえないでしょう。内調の人も『あんなことやっていませんよ』と失笑していました」(同前)

 一方、全国紙のベテラン記者は、米倉涼子が演じる記者に違和感を覚えたという。

「調査報道とは、暗い森の中を彷徨い続けるような苦しい取材です。迷い、立ち止まり、時には出発地点に立ち帰ったりもする。でも、このドラマの米倉さんは、関係者がリストアップされた資料をじっと見つめているだけで、赤木さん役の財務局職員を見つけ出してしまう。実際は、関係者の自宅を割り出すのも大変だし、チームでリストをしらみ潰しに訪ね歩くなどしないとキーパーソンにはたどり着けません。本作では後輩が資料作りを手伝うだけで、ほぼすべての仕事を米倉さん一人でやってのけてしまうのです。いざ本丸の取材対象者を捕まえられたというのに、不思議なくらいエレガントに立ち振る舞う米倉さんにも違和感しかなかった。つかつかと現れ、見開いた目で相手を見つめて『お願いします』と。断られても決して追いすがらない。おそらく、しつこく取材する他のメディアとは一線を画した記者だと表現したかったんでしょう」

 実際、対照的な存在として、なぜかニヤニヤ笑いながら遺族にICレコーダーをつきつけ、矢継ぎ早に質問を繰り返す週刊誌記者が登場した。

「あれはいくらなんでも週刊誌記者に失礼でしょう。もちろん、あんな無礼な記者は現場にはいません。でも、必死に食らいつかなければ人を口説き落とせないというのも事実です。追いすがり、朝昼通い、手紙を書いたりして『私に託してください』という思いを相手に伝え続けて、ようやく相手も心を開いてくれるわけです」(同・ベテラン記者)

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