「こんなに重症例が少ないのは初めて」と医師が証言 「2月中に波が落ち着く」の声も

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「死亡例は%にできないほど少ない」

 東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授に、症状別の割合を、さらに細かく説明してもらう。

「国内では地域差がありますが、無症状が概ね5~10%だと思う。最近の東京は無症状が8.4%で、国内1128症例によるデータでは、無症状は10.9%でした。海外ではノルウェー1.2%、アメリカ7%といいます。対して軽症が一番多く、国内670例では軽症が98.7%。酸素吸入が必要な“中等症2”は0.1%で、酸素吸入が要らない“中等症1”も同程度に少ない。重症者はほとんどおらず、唯一データがある南アフリカで、ICUで治療した人は0.2%といわれます。死亡例は%にできないほど少ないです」

 浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師は、現場の実感も交えてこう推定する。

「無症状が50%、軽症が49%、中等症以上が約1%で、致死率が0.01%以下だと考えています。イギリスの調査では、オミクロン株の感染者約29万5600人のうち、死者は30人だったといいます。ただ、無症状の感染者は把握されていない人も多いので、0.01%以下だと思います」

この2年間でこんなに重症例が少ないのは初めて

 重症や死に至りにくいというデータから、オミクロン株をどうとらえるべきだろうか。矢野医師が言う。

「私が診ているかぎり、インフルエンザより軽いと思う。デルタ株では下痢や吐き気などで、脱水になって救急車で運ばれる人もいましたが、そういう症状は見られません。のどの痛みや頭痛、39度などの高熱です。インフルはこれに倦怠感が加わりますが、オミクロン株では少ないようです」

 一方、寺嶋教授は、

「肺炎になるケースは、減ったとはいえ、インフルエンザよりは確率が高いようです。また、軽症でも38度以上の熱が続き、かなり苦しい場合もある。高齢者への感染も見られるようになり、80~90代の人は、熱が出ると危険です。また、高齢者はワクチンを接種して半年以上経つ人も多いので、油断はできません」

 と、警鐘を鳴らすことも忘れない。

 ここで沖縄の状況に触れておきたい。琉球大学大学院教授で沖縄県専門家会議座長の藤田次郎医師が話す。

「この2年間で、こんなに重症例が少ないのは初めてです。私たちの病院は約20名が入院していますが、軽症、中等症が多い。県全体では1月17日時点で、21の重点医療機関に323人が入院していますが、重症例は3例。デルタ株までと異なり、診療への負担が軽減しています。デルタ株までの新型コロナウイルス感染症は、40年近く呼吸器を診てきた私が“こんなに怖い病気は見たことがない”と思うほどでした。肺炎はレントゲンが真っ白になる方が多かった。また重症化率が高く、医療従事者も“罹ったら死ぬんじゃないか”という恐怖感がありました。他院の看護師さんがエクモ管理になった際には、病棟に戦慄が走りましたが、オミクロン株に置き換わり、印象が変わりました。肺炎の頻度が明らかに減り、肺炎の方もレントゲンに写るのは小さな陰影です。現在は新型コロナの肺炎を治療している症例数は少なくなり、むしろ基礎疾患の治療をしている感じです。また感染者は増えましたが、重症化し亡くなった方はきわめて少ない印象です」

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