藤井聡太五冠挑戦の裏で“A級陥落”危機の羽生善治 今年度の勝率は3割台…敗因は?

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勝率は3割台

「やはり年齢からくる衰えが大きいと思います」

 と先の観戦記者が続ける。

「一般に棋士の全盛期は25~30歳で、後は下降線をたどっていくものですからね。また、最近はAIを使った研究が主流で、その点では若手にはなかなか追いつけないところだと思います」

 七冠制覇を果たし、前人未到のタイトル獲得99期を誇る大棋士も、自然の摂理と時代の趨勢には抗えないのか。2021年度の勝率も、現在3割9分と、プロデビュー以来初の、年度内負け越しが決定的である。

「私がA級から落ちたのは52歳の時でした」

 とは、タイトル獲得64期のこれまた大棋士、中原誠十六世名人である。

「順位戦は1年間かけて全員と戦った結果で順位が決まる。一発勝負ではないので言い訳が利きません。B級1組に落ち、自分がA級の10人より下という結果を突き付けられて、ショックを受けたものです」

 とはいえ、羽生九段は一昨年に竜王戦の挑戦者となり、昨年も王位戦の挑戦者決定戦まで進むなど、まだまだトップに近い「底力」を持っていることは間違いない事実。

 中原名人も言う。

「これからタイトル戦に出ることも決してありえない話ではないと思いますよ。もし100期をかけた相手が藤井さんとなれば、大注目を浴びる素晴らしい対局が期待できるでしょうね」

 その藤井四冠は現在、順位戦でB級1組のトップを走り、22年度のA級入りを濃厚にしている。

 追う者、追われる者。

 残り2戦、羽生九段にとっては、崖っぷちの対局が続きそうだ。

週刊新潮 2022年1月20日号掲載

ワイド特集「人生のハザードマップ」より

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