「わいせつ教員」の復職制限が厳格化も、残る課題 被害者は「免許を再取得できること自体がおかしい」と批判

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「再び先生になりたいとは思わないのが普通」

 いくつかの条件を設け、わいせつ教員の復職に制限をかけようという目論見。文科省は今月20日までパブリックコメントを募集し、4月からの施行を目指すが、これらをどう評価すべきか。

 中学時代に男性教師から性暴力を受けた経験を持つ、フォトグラファーの石田郁子氏は、文科省や教育委ら「体制側」「任用側」の姿勢に端から疑義を呈する。

「懲戒免職で免許が失効となること自体が氷山の一角で、なぜなら児童や親が被害を訴え出ても、これを教員が否定すれば、教育委は処分をためらうからです。文科省も『原則懲戒免職』という通知を出すものの、この“原則”というのが問題で、免職とするか否かは教育委に委ねている。結果、加害者が免職を免れて停職で済むこともあります」

 そして、こう続ける。

「もし加害者が自分の行為を正しく理解していたら、再び先生になりたいとは思わないのが普通でしょう。彼らは復帰を目指す理由として“教育への情熱から”などと綺麗ごとを並べますが、教壇に立ち、生徒と触れ合うことばかりが教育への貢献ではないはず。免許の再取得の道が開かれていること自体、おかしいと思います。性暴力は過失でなく、あくまで故意によって起きるもの。そんな加害者の職業選択の自由を考慮する必要があるのでしょうか」

 法で保護されるべきは、児童・生徒の側であるはず。細かな規則で抑止するよりも、二度と教員にだけはなれない制度にすることこそが、解決の本道だ。

週刊新潮 2022年1月13日号掲載

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