日大事件で注目の私大ガバナンス改革に「立民」も「国民民主」もダンマリを決め込む理由
対案が出て来ない
文部科学省が立ち上げた会議体の提言を文科省自身が否定するという異例の展開になっている「大学ガバナンス改革」。年間100億円近い補助金を得ながら、出入り業者からの多額の現金を懐に入れるなど、やりたい放題だった日本大学の前理事長に国民の怒りは収まらないが、もとはと言えば大学にガバナンスが欠如していたことに問題があった。
それを「他の公益法人並み」にすべきだとした「学校法人ガバナンス改革会議」の結論に、私立大学経営者やその意を受けた自民党の文教族議員ばかりでなく、あろうことか野党も背を向けているという。国民のカネを貪る教育分野の「政官業」のトライアングルは打破できないのか。
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「改革会議の提言に替わる文科省案を、昨年末までに作ると報じられていたのですが、対案は年が明けても出てきません」
そう語るのは、文科省の中堅官僚だ。
「経営に当たる理事長や理事会に対するチェック機能を評議員会に持たせるという改革会議の案に対して、論理的に反論するのは至難の業です。さらに、他の財団法人などに比べて多額の税金がつぎ込まれていますから、大学だけガバナンスは緩くてよいのだと言えるはずがありません。私大経営者に焚きつけられた大物自民党議員たちは末松信介文科大臣に改革会議の案を何とか潰してほしいと進言していますが、日大の事件もあり、中途半端な妥協案を出せば、今度は文科省が批判されます。担当の私学部は困り果てています。そこで再度、別の会議体を作って時間稼ぎしていれば、世の中の関心が薄れるのではないか、と考えているようです」
労働組合の既得権益が侵される
それにしても、自民党の族議員が大学経営者の声を聞くのは分かるとして、なぜ、野党はそんな自民党を批判しないのだろうか。大学経営に詳しいジャーナリストが解説する。
「自民党の場合、地元の有力者である大学経営者から頼まれたから反対している、というケースがほとんどで、実は大学のガバナンスに関心を持つ国会議員はあまりいません。一方、立憲民主党や国民民主党の議員が改革に賛成しないのは、支援団体である組合が関わっているからなんです。
今の評議員会には職員代表が評議員として加わることができるのですが、改革会議の提言では職員は兼務できないようにしています。これは雇用されている職員が評議員になっても、雇用されている立場では経営者である理事のチェックができないという判断からです。他の公益法人も同じような規定になっています。ところが、大学によっては職員枠をあらかじめ決めていて、労働組合に入っている職員が評議員になっている。つまり改革案では労働組合の既得権が侵されてしまうため、ガバナンス改革に野党が乗ってこないのです」
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