「安倍・麻生」同様にキングメーカーを目指す「菅前首相」の派閥結成の実現度

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ギリギリまで本心は明かさない

「岸田さんは菅さんが不完全燃焼のまま官邸を去ったことを気遣いつつ、ワクチンの件で謝意を述べたと言います。菅さんは割と単純なところがあるので、そう持ち上げられると嫌な気はしないんです。もっとも岸田さんの周辺では、“菅さんと同じ轍を踏まず、反面教師にする”が合い言葉になっているようですが」(同)

 デスクの言うように、菅氏を「持ち上げ」るのは何も岸田首相だけではない。

「菅さんを支持するガネーシャの会などのグループのメンバーの中には、やがては派閥化をと目論んでいる面々も少なくないと言います。もちろんそういった声に菅さんは敏感だし、前向きな気持ちはあるようですが、ギリギリまで本心は明かさないでしょう」(同)

 菅氏は総裁選に出馬する際、「自民党の派閥は良いところもあれば、悪いところもある。しかし、私は派閥の連合で推されて、今ここにいるわけではない」「私は無派閥です」などと述べていた。

 自民党の閣僚経験者に「菅派」の実現度について聞いてみると、

「菅さん自身、派閥を否定はしないが距離を置いてきた人ですよね」

 と言う。

 菅氏は1996年に初当選して所属したのは平成研(当時の小渕派)で、これを1998年に退会している。総裁選で派閥のボス・小渕恵三氏を推さず、政治の師と仰ぐ梶山静六氏を担ぐにあたり離脱を余儀なくされた。

無派閥の辛さをよく理解している

 それから梶山氏に古賀誠氏を紹介され、宏池会(当時の加藤派)の門をくぐる。2000年の「加藤の乱」では加藤紘一氏に同調したが、加藤氏の「名誉ある撤退」に失望し、その後の宏池会分裂では反加藤グループの堀内派に所属。2009年の総選挙後には、無所属となった。

 先の閣僚経験者は、

「国民の間には、麻生さんはなんであんなに威張ってるの? とか、二階さんに力があるのはなぜ? という疑問があるかと思います。永田町は狭いムラ社会で、派閥にはカネ、人事権、情報が集まっていて、そこからあぶれると大変。菅さん自身、無派閥の辛さをよく理解しているし、一連の菅おろしを経て、派閥の重要性は身にしみていると思いますよ」

 と指摘し、こう続ける。

「安倍、麻生、茂木、そして岸田派という岸田内閣の主流派の結束は固く、菅さんはそこから外れた二階、森山、石破といった派閥やグループとの連携を模索していると言われているようですね。数だけ足せば確かにそれなりの勢力にはなるけれど、二階さんとか石破さんはいったん自民党を出た人だし、菅さんも派閥を転々として最後は無派閥になった人。他と連携するにしても、自身のグループを派閥化するにしても、これまでのスタンスとの整合性は問われますよね」

 皮肉なことに、国民の間では退陣前後から、ワクチン接種を急速に進めるのに成功したことなどから、菅氏への評価が高まったという面があるのも事実。

 まとめると、菅派結成までは何とかこぎつけられるかもしれないが、大きな勢力となるのはかなり困難、というのが現状だろうか。キングメーカーへの道もまたそう簡単ではないということかもしれない。

デイリー新潮編集部

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