なぜ皇室崩壊の危機は訪れたか 「開かれすぎた皇室」が招いた眞子さんの結婚トラブル

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背景に社会全体の閉塞感

 笠原教授によると、90年代以降、いわゆる中間層が細って格差社会へと変わっていき、

「以降は新自由主義によって格差がさらに広まり、非正規雇用が増えるなど、社会全体に閉塞感が広まっていると思われます。経済的な豊かさだけでなく心の豊かさを失った人も多いのかもしれません。こうした空気が“血税”といった発想に通じているように感じます。SNSが発達し、匿名性と相まって“批判が批判を呼ぶ社会”が到来しました。昭和や平成が開かれた皇室を作ったように、過激なコメントに付く“いいね”という共感を欲している現代もまた、皇室とは不可分だといえます」(同)

 皇室が“開かれすぎた”結果、陛下と皇族方は国民から敬愛という枠を超えて親近感を抱かれるに至り、その“副作用”として皇室が何であるかを知らない、そして知ろうとしない者が増えてしまった。それゆえ、ひとたび違和感や怒りの対象となれば、容赦なく批判や憎悪のコメントを浴びせられる状況になってしまったのだ。

 皇室の意義をまるで理解せず「一般人目線」で眞子さんに近づき、首尾よく思いを遂げた小室さんもまた、こうしたSNS時代の「落とし子」といえよう。いわゆる「小室問題」が、一般人と同じく自由恋愛でご結婚され、お子様方の進学先として学習院も“否定”されるなど、皇室の堅苦しい伝統を回避してきた秋篠宮家で発生したことは実に皮肉であり、また同時に必然でもあった――。

週刊新潮 2021年12月30日・2022年1月6日号掲載

短期集中連載「なぜ『皇室崩壊の危機』は訪れたか」より

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