日韓慰安婦合意から7年目 一方的に破棄した文大統領と正義連の尻拭いが必須の次期政権

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賠償と謝罪を求める先は日本ではない

 韓国側はかねて日本に対し謝罪と賠償を求めてきたが、慰安婦も徴用工も50年以上前に日韓基本条約で決着がついている問題だ。日本が個人賠償を申し出たのに対し、韓国政府は「個人賠償は韓国政府が行う」として、一括でカネを受け取って請求権を消滅させた経緯がある。

 さらに2021年1月、慰安婦被害者が日本政府を相手取り損害賠償を請求して勝訴した判決に関連し、現政府は、「政府レベルでは日本に追加請求しない方針」「慰安婦被害者と相談し、円満な解決に最後まで努力したい」と述べている。繰り返しになるが、正義連が賠償と謝罪を求める先は日本ではない。

 今回の正義連の発表などに対する韓国民の反応を拾ってみると、「朴槿恵らが米国の圧力に屈した結果、屈辱的な韓日合意をしたのだから、彼らは責任を負わなければならない」「岸田首相がまずは“慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復させる”ことを実行しろ」「河野談話の踏襲を要求する」といった意見がある一方、「韓国政府が1日も早く合意を履行することを望む。政府は早く約束を守り、日・韓両国が互いにウィン-ウィンの関係になるよう発展させなさい!」と日本の立場に理解を示す主張もあった。もちろん、「国交断絶」などラディカルなコメントも散見されたが……。

文大統領の尻拭いを

 文大統領が慰安婦合意を破棄した後の水面下の動きは判然としないが、2021年10月、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は「日本政府が拠出した資金のうち、残額を被害者記念事業に使用してはどうか」と日本政府に打診して反対されたことを明らかにしている。

 日本政府の対応はもっともなものだろう。この残金にタカって私腹を肥やそうとする新たな勢力が登場するのは容易に想像できるし、日本のカネで記念事業を展開した場合、「日本が慰安婦の事実を容認した」と言い出す面々も出てきそうだ。

 今年、与野党どちらの候補が大統領に選出されるにしても、日韓合意について、文大統領の尻拭いをしなければならないことだけは変わりない。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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