「めんどくさい人」卒業が進む芸能界…BIG3の中で一人勝ちするタモリの存在感

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評価が大きく分かれたBIG3 番組での「座り位置」の違いに表れる持ち味

 タモリさん、たけしさん、明石家さんまさんというお笑いBIG3。それぞれ人気冠番組を持つ重鎮たちで、それぞれに「めんどくさい」人たちだ。ただ最近の「好きなMC」「嫌いなMC」ランキングを見ると、立ち位置の違いが明確になる。「嫌いなMC」にランクインするたけしさん、両方に入るさんまさん、「好きなMC」上位のタモリさん。彼らの番組を見ていると、座席配置に各自のスタイルが出ていて面白い。

 たけしさんは他の出演者とは離れた席に座り、さんまさんは場の中央に立ち、タモリさんは隣に座る。たけしさんやさんまさんは、座席の位置でも上下関係がはっきりしている先生的なポジションだ。だから彼らを、威圧的・支配的な関係性を持ち込む「めんどくさい」人ととらえる人もいるのだろう。坂上さんもそうだが、和田アキ子さんら「ご意見番」タレントたちが批判されるようになったのも同じ理由だ。

 一方でタモリさんは、話し相手と視線が並ぶことが多い。好感度のためではなく、上下関係を意識させない方が、相手の素直な反応を引き出しやすいという判断だろう。相手の出方を面白がる度量と幅広い知識で、変幻自在のタモリ色を作り上げていくスキルは見事である。

「感情的になったら負け」の時代と「めんどくさい」人の効用

 MCに限らず、番組出演者をお茶の間の代弁者としてありがたがる人はもういない。毒舌ブームも一段落して、個人的な感情や主張をあらわにする人は失格とみなされる。

 台頭したのは「感情的になった方が負け・バカ」と言わんばかりの、ひろゆきさんやホリエモン、古市憲寿さんのような冷笑的な論客だ。わざと相手を不快にさせる言い方をして、相対的に冷静な自分を演出する。避けるには、「人それぞれだしいいんじゃないですか」と、相手の土俵に上がらないようにするしかない。

 その点、今でも多くの冠番組を持つ有吉さんやマツコ・デラックスさんはハイブリッド型の毒舌として健在である。彼らも自身のめんどくささを自覚しているからだろう。毒は吐くが、「あなたが違う意見でも構わないし気にしない」という姿勢を崩さない。相手をコントロールしたり、勝手にジャッジしたりしないのだ。タモリさんマインドに通じるものを感じる。

 人と違うこだわりを恐れないめんどくささと、こだわりを人に押しつけない柔軟さ。両方ある人が、今の芸能界で愛されるのだろう。でも「めんどくさい」と言われるのは、熱量が高いことと同義ではないだろうか。BIG3がBIG3たりえたのは、めんどくささがBIGでもあったからだ。愛すべきめんどくささでテレビを引っ掻き回し続けるタモリさんたちが、これからもめんどくさくいてくれますように。そう願ってやまない。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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