「焼肉きんぐ」は顧客満足度が上昇 コロナ禍でも焼肉業界が驚くほど堅調な理由

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労務管理とDX

「テーブルバイキング特有の問題を、焼肉きんぐはDXを活用することで解決しました。焼肉の来店客は『おいしい肉を安く食べたい』と目的が明確です。調理をお客さんが担当するという特徴もあります。つまり、調理担当者の技術力が店の魅力を左右する割合が比較的低い。そのため店は、『お客さまが食べたい肉を1秒でも早くテーブルに届けるにはどうしたらいいか』という課題に集中することができます。配膳ロボットの導入が効果を発揮したのは、焼肉店は業務の機械化やデジタル化に向いているからです」(同・千葉氏)

 労務管理にAIを導入している焼肉チェーン店もある。「0秒レモンサワー仙台ホルモン焼肉酒場ときわ亭」だ。

「テーブルにレモンサワーのタップ(蛇口)が付いており、自分で注いで呑むことができることで人気を集めています。同社は労務にAIを導入し、アルバイトが『辞めたい』と感じる節目である、初日、1週間目、8週目、12週目の状況を捉えて、その時に社員がフォローする面談を用意しているのです」(同・千葉氏)

目標は回転寿司!?

 例えば、初日から辞めたくなる理由は、AIの分析によると「アルバイトが来ることを店長が知らなかった」、「制服が用意されていなかった」などという具合だ。

「店長はAIの分析を参考にし、実際のアルバイト店員の個性を勘案しながら、『1週間目に語りかける内容』、『8週間目に語りかける内容』を用意しているわけです。現状の心理状態に的確に応じてもらえると承認欲求が満たされ、やる気が出ます。アルバイトの離職率が減り、職場の雰囲気も明るくなったそうです。店員の誰もが笑顔で働いていると、お客さんも嬉しくなります。結果、顧客満足度も上昇しました」(同・千葉氏)

 今後、焼肉業界は、“食のテーマパーク化”が進むと千葉氏は見ている。この分野におおけるトップランナーは回転寿司だ。

「今の回転寿司は美味しいだけなら当たり前で、お客さんに『楽しい』と喜んでもらうことが競争のポイントになっています。マグロの解体といったアトラクション的要素や、寿司以外のメニューを充実させたり、フェアを企画したりして、顧客満足度を上昇させているわけです。早晩、焼肉業界も、大手チェーン店が先頭を切る形で、こうした“テーマパーク化”に力を入れていくのではないでしょうか」

デイリー新潮編集部

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