「焼肉きんぐ」は顧客満足度が上昇 コロナ禍でも焼肉業界が驚くほど堅調な理由

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 コロナ禍で飲食業界は大きなダメージを被ったが、その中で焼肉業界の売上は堅調に推移している。担当記者が言う。

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「コロナ禍でも焼肉業界は“一人勝ち”という記事を、朝日新聞、日本テレビ、日経ビジネスなどが報じています。朝日は焼肉店におけるクレジットカードの決済額が伸びていること、日テレは焼肉チェーン店の出店数が伸びていることを伝えました」

 日経ビジネスは2021年3月22日号に「郊外型店が活況、ワタミは600店目標 不況無縁の焼き肉戦争 コロナで店舗が進化中」を掲載した。

「記事では東京商工リサーチの調査結果が紹介されています。それによると、2020年の焼肉店の倒産件数は14件。これは過去10年で最低の数字だそうです。焼肉店もコロナ禍による売上減に苦しめられたのは間違いありませんが、需要は手堅かったことが浮き彫りになりました」(同・担当記者)

 各社が報じた「焼肉店が堅調な理由」をいくつかご紹介しよう。

▼焼肉店は換気に力を入れているところが多く、コロナ禍でも安心感があった。

▼コロナ禍により自宅でホットプレートを使って焼肉を作った家庭も多かった。ところが、どれほど焼肉専門店が美味しかったかを消費者に再認識させる結果になった。

▼リモートワークの普及で、父親が在宅で仕事をする家庭が増えた。平日でも家族そろって外食することも増え、焼肉チェーンの郊外店には追い風となった。

今も昔も焼肉は人気

 データベースの構築を手がける日本ソフト販売は、公式サイトで「【2021年版】飲食店チェーンの店舗数ランキング」を公開している。

 今年1月の時点での焼肉チェーン店のベスト5は、【1】牛角(609店)、【2】焼肉きんぐ(251店)、【3】七輪焼肉安安(173店)、【4】安楽亭(166店)、【5】牛繁(154店)──となっている。

 コロナ禍でも、このうちどこかに食べに行ったという方は少なくないかもしれない。

 フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏は「焼肉の持つ“特別なごちそう”という感覚が、コロナ禍で再認識されたのではないでしょうか」と分析する。

「昔から『バイト代が入ったら焼肉店へ行く』という大学生や、『ボーナスが入ったら焼肉店へ行く』という会社員は多かったものです。コロナ禍でなかなか外食ができない、フラストレーションがたまる――、そんな中、久しぶりに外食ができるとなると、特に若者やファミリー層が『焼肉を食べに行こう』となるのは納得でしょう。なかなか『フレンチに行こう』とはなりません」

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