日本人はどこまでコロナにおびえるのか オミクロン株への“鎖国”を評価する異常さ(中川淳一郎)

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 政府の一連の新型コロナウイルス対策は「決められない」「後手後手」と批判され、その様子は映画「シン・ゴジラ」の大杉漣演じる優柔不断な総理大臣とその他閣僚を連想させる、とネットには書き込まれました。

 同作では総理の死後、長谷川博己演じる内閣官房副長官と竹野内豊が演じる内閣総理大臣補佐官がリーダーシップを発揮し、ゴジラを撃退するわけです。私には岸田文雄総理がコレに影響を受けたように感じられてならないのです。

 11月29日、オミクロン株(以下「オミ株」)の広がりを受けて、外国人の新規入国を11月30日から12月31日まで禁止すると発表。「まだ状況が分からないのに『岸田は慎重すぎる』という批判は私がすべて負う」と述べました。そして、12月6日の所信表明演説でも同様のことを言いました。

 オミ株については、最初にWHOに報告した南アフリカの医師が主な症状について発熱、頭痛、喉の痛み、筋肉痛があり、体温が38度台まで上昇する、と説明しています。正直「そこまでヤバいか?」と思います。むしろワクチンの副作用(あえて「副反応」とは書かない)の方がキツいし、ツイッターにはワクチン打った後に39~40度台の熱が出た、との書き込みもありました。

 南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、日本を名指ししたうえで、入国制限を「不当だ」と批判。私もそう思います。11月26日にオミ株が発表されてから「2週間はどの程度危険があるか分からない」といった言われ方をしましたが、本稿を書いているのはこの日から11日後。明らかにこれまでの株よりも弱毒化している。だったらこれに曝露し、天然ワクチンを体内に取り入れればいいんじゃない? なんてこの1年10カ月、コロナ騒動を見続けた私は感じました。

 ところが岸田氏はビビりまくり、「先手先手」「決められるリーダー」を見事に鎖国令で演出したのです。完全に、昨年2月のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の対応の頃に戻ってしまった。何やってるんだか……。

 しかし、岸田氏の判断は「大英断だ、あっぱれ!」と捉えられ、12月上旬の世論調査では、“鎖国”を「評価する」が89%となり、内閣支持率は11月上旬から6ポイント上昇の62%に。

 もうダメだ、日本国民。どこまでコロナに脅えているんだよ。もう一度言いますよ。オミ株の主な症状は「発熱、頭痛、喉の痛み、筋肉痛であり、体温が38度台まで上昇」です。これ、そんなに怖いか? しかし「まだ何があるか分からないだろ! 慎重に慎重を期すのがリーダーの役割だ!」という反論が「コロナ怖いよぉ~」派からは寄せられる。

 こりゃ終わらないわ。TVに出る専門家も終わらせる気がなく、陽性者数全国2桁~100人台が連日続いているのにオミ株が出たらイキイキとし始めた。

「マスクはパンツ」「デルタ株は金メダル」等の発言で知られる日本医科大学・特任教授の北村義浩氏なんてオミ株は「新型新型コロナウイルス」と言い出し、振り出しに戻した。

 それにしてもテレビに出まくる専門家、大学で講義したり、最新の研究をする時間あるの? ないよね、普通に考えて。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2021年12月23日号掲載