中田翔、今宮健太…次にノンテンダーになる可能性のある30歳前後、高額年俸選手の具体名

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プロ入り後初の「一軍0勝」

 一方、FA権を行使せずに残留したものの、その後大きく低迷しているのが広島・野村祐輔と田中広輔だ。野村は、チームが25年ぶりのリーグ優勝を果たした16年に16勝をマークして最多勝に輝いたが、その後は年々成績が低下。今年は、ついにプロ入り後初となる「一軍0勝」に終わっている。

 元々スピードで勝負するタイプではないとはいえ、ストレートはほとんどが130キロ台中盤と明らかに勢いがなくなっている。変化球でかわす投球にも慣れられた印象が強い。このオフは、減額制限いっぱいとなる40%ダウンの年俸7200万円で契約を更改したが、来季も低迷が続くようであれば、最悪見切りをつけられることも考えられる。

 田中は、プロ入り2年目から不動のショートとして活躍し、チームの3連覇に大きく貢献。しかし19年に右膝の故障で大きく成績を落とすと、昨年は持ち直したかに見えたが、今年は高卒3年目の小園海斗にレギュラーの座を奪われ、プロ入り後最低となる28安打でシーズンを終えた。

 今年から2年契約を結んでいたため、このオフは現状維持の年俸1億5000万円で契約を更改しているが、過去3年間の成績を見ると、年俸に見合った活躍ができていないことは明らかだ。チームの内野陣は、前出の小園や林昂汰など若手の台頭が著しいだけに、2年契約最終年となる来季が大きな正念場となることは間違いない。

減額制限を超える56%ダウン

 今年一気に窮地に立たされた選手と言えば、やはり巨人・中田翔になるだろう。昨年は3度目の打点王に輝いたものの、今シーズンは開幕から調子が上がらず、4月にはプレーとは関係のないところで右目を負傷。8月にはチームメイトへの暴行が発覚して“無償トレード”という形で巨人に移籍した。

 だが、最後まで本来のバッティングを見せることができず、レギュラー獲得後は最低となる7本塁打、打率.177という成績(※日本ハム時代と合算した成績)に終わった。オフには、減額制限を超える56%ダウンで契約更改となったが、それでも1億5000万円という年俸は決して安いものではない。新たに3年契約を結んだ原辰徳監督は、チームを大きく作り替えることを示唆しており、中田は今年のような状態が続くようであれば、“最悪の事態”も考えられるだろう。

 そして、3人を自由契約とした日本ハムで次に危ないのが中島卓也だ。15年には盗塁王とベストナインに輝いたが、ここ数年は年々成績を落としており、今年はわずか18安打という結果に終わっている。

 堅実な守備と脚力は健在だが、課題の打撃は向上の気配が見られない。チームは上野響平や細川凌平、さらに、今年のドラフトでは水野達稀(3位)、上川畑大悟(9位)と次々とショートの選手を指名し、世代交代に備えている感は強い。日本人野手では、近藤健介に次ぐ、年俸8000万円という高額年俸選手で、来年が3年契約の最終年となるだけに、今年と同じような成績に終われば、ノンテンダーとなる恐れも十分にある。

 何とか移籍先の決まった大田も、年俸は大幅ダウンとなっており、選手にとっては苦しい状況だ。今回取り上げた「不良債権」となっている選手たちも、本来の力を発揮すれば、まだまだ中心選手として活躍できる実力者だ。1人でも多くの選手が鮮やかな復活劇を見せてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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