「ぺんてる」株買い占めに打って出た「コクヨ」 「プラス」も参戦で「文具戦国時代」に突入

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ぺんてる三代目の解任

 国内文具・事務用品市場は年を追うごとに縮小を余儀なくされている。その結果、物流網の統一などスケールメリットを図るため、「弱肉強食」の業界再編が始まった。「キャンパスノート」で知られる業界トップの「コクヨ」(大阪市)が、主にボールペンなどを扱う「ぺんてる」(東京・日本橋)株の買い占めに打って出たのだ。

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 この買い占め劇の発火点は、ぺんてる創業家の三代目である堀江圭馬元社長の解任にまで遡る。ぺんてるは、圭馬氏の祖父、堀江幸夫氏が一代で築き上げた。長らくぺんてるの天皇として君臨した幸夫氏は、1984年、長男の利幸氏に社長の座を譲ったが、3年後に利幸氏は自社ビルから飛び降りてしまった。

 ぺんてる関係者によれば、

「幸夫さんは会長職に留まり、売上が落ちたりすると利幸さんを悪しざまに罵倒することもありました。相当なプレッシャーでノイローゼ状態に陥り、自死を選ばざるを得なかった。二代目の死で幸夫さんは経営の一線に復帰し、孫の圭馬さんが32歳の若さで社長に就くまで、ぺんてるの舵取りを続けました」

 だが三代目の圭馬氏は、2012年、就任10年にして経営者失格の烙印を押される。取締役会への遅刻や無断欠席は日常茶飯事で、頻繁に海外へと出かけては豪遊三昧。圭馬氏は煙たい古参役員を一掃すべく63歳定年制を導入しようとして、返り討ちに遭ったのだ。

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