Z世代は長生きを望まない? 希望の寿命は79歳…「長生きしたって仕方ない」と諦観

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職場環境の悪さ、将来への諦観

『新型格差社会』などの著作がある中央大学の山田昌弘教授(社会学)も同様に、

「若い人は孤独死に関する報道にも日常的に触れていて、金がなく、誰にも相手にされず孤独に死ぬならば、長生きしたって仕方がないという考え方。金があって家族に囲まれながら長生きするなんていう理想の状況は、端(はな)から望めないという諦観があるんです」

 さらばバリバリ働いて稼ごう、とはならないらしい。牛窪氏によると、

「終身雇用制度は崩壊し、国や会社はアテにできない。出世に意義を感じにくい彼らは、家族や仲間との時間を大事にしたいと考える。彼らは投資に熱心なんですが、それさえも、ある程度の年齢までにそこそこの資産をつくってリタイアし、手元の資金で身の丈にあった暮らしを送れれば幸せとの堅実すぎる発想がある」

 山田氏もこう言う。

「職場の環境が悪すぎます。働いても給料は上がらず、上の世代が滞留していて、若い層にとっては活躍の場が開けそうにない。だから仕事よりも趣味の世界に希望を抱く。働かずに済むなら、すぐにでも仕事をやめたいというのが本音。リアルな世界に絶望し、ゲームなどの仮想世界で楽しんでいる感じでしょうか」

 話を聴くのが特技という総理に聞かせられない現実。

週刊新潮 2021年12月9日号掲載

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