日本は及び腰の「中国の弾圧」問題 在日のウイグル人ら訴え、中国公安はメールで恫喝

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中国の人権問題に腰が引けたのか? 岸田首相は地元広島の日中友好協会会長だった

 岸田首相は11月19日、バイデン米大統領が来年2月の北京冬季五輪の外交的なボイコットを検討していると表明したのを受け、「それぞれの国でそれぞれの立場があり、考えがあると思う。日本は日本の立場で物事を考えていきたい」と述べた。強まる中国包囲網に気を揉む中国共産党は、さぞやほっしたことだろう。その岸田首相は総理になる直前まで、選挙区のある広島県日中友好協会の会長を足かけ4年ほど務めていた。

 日中友好協会の会長は、伊藤忠商事の社長や会長を務め民主党政権(菅直人首相)下で中国大使に抜擢された丹羽宇一郎氏が務めている。東京都が尖閣諸島購入のために募った寄付金が続々と集まっていることについて「日本の国民感情はおかしい。日本は変わった国」「もし計画が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらす」などと発言した正真正銘の親中派である。

 日本国内には以下のように、日中友好協会を含め主な対中友好団体が7団体ある(日中友好会館、日中友好議員連盟、日本中国文化交流協会、日中経済協会、日中協会、日本国際貿易促進協会)。これらの団体について、麗澤大学特別教授の古森義久氏はネット配信の「JBpress」(2021年11月17日)で、ワシントンの研究機関「ジェームスタウン財団」が2019年に発表した「中国共産党による日本での影響力作戦についての予備調査」に次のような趣旨の内容があったことを指摘している。

「友好団体側は、統戦部との協力や接触に気がつかない場合もあり、違法活動をしているというわけでもない。だが、統戦部側は日本側の政界や世論への影響力行使のために常にこれら友好団体を利用しようとしている」

「統戦部」とは、中国共産党中央委員会の直属の「中国共産党中央統一戦線工作部」を指す。国内外のチベット人やウイグル人などの活動監視や工作などにも関わっているとみられている。

 こうした団体との関りと、岸田首相の中国の人権問題に対する曖昧な態度とを結び付けて考えたくはないのだが。

椎谷哲夫(しいたに・てつお)
ジャーナリスト(日本記者クラブ会員)・皇學館大学特別招聘教授。昭和30(1955)年宮崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、早大大学院社会科学研究科修士課程修了。元中日新聞社(東京新聞)編集委員。警視庁、宮内庁、警察庁担当、販売局次長などを経て、編集委員を最後に退職。著書に『皇室入門』(幻冬舎新書)など。

デイリー新潮編集部

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