日本は及び腰の「中国の弾圧」問題 在日のウイグル人ら訴え、中国公安はメールで恫喝

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これが中国の公安が南モンゴル出身女性に送ってきた恫喝メールだ!

 11月13日の集会ではさらに、20年前に留学で来日した南モンゴル人のヒヤン・オランチメグさんの発言もあった。日本人の夫がいて永住権を持っているが、故郷の南モンゴルにも家族がいるという。その南モンゴルでは昨秋、教育改革と称して「国語」の教科書がモンゴル語から中国語に変わったというのだ。さらに歴史の教科書も、道徳の教科書も中国語表記に換えられようとしており、中国共産党による同化政策が激しさを増しているという。

 彼女は今回、意を決してウイグル人やチベット人の女性たちとともに集会で顔を晒したが、その数日前から、南モンゴルの公安当局からのメール、電話が、ひっきりなしにかかって来たという。集会当日に送られてきたメールには、こんな威圧的な言葉が中国語で書かれていた。

〈あなたが今後、国家の利益にならない活動には参加せず、仕事に励んで安らかな日々を過ごすことを希望する〉

 オランチメグさんは、このメールを送った公安も同じ故郷の南モンゴル人で、仕事だから仕方なくやっているのだろうと気遣う。が、「向こうにいる友人たちから私の動向を聞き出したのかもしれないが、日本でも私を監視している人物がいるとしか思えない」と不安を口にする。

 ところで、オランチメグさんは故郷を「南モンゴル」と呼び、中国当局がつかう「内モンゴル」の呼称を避けるのはなぜか。内モンゴルと外モンゴルという名称は、漢民族を中心とする中国人が「内側か外側か」で区分けしたものであり、モンゴル人にとっては受け入れがたいものだからである。今年4月に設立された国会議員による支援組織も「南モンゴルを支援する議員連盟」(南モンゴル議連)と称している。

中国国内に張り巡らされた無数の監視カメラが少数民族の虐待に使われている

 オランチメグさんが「監視」を恐れるのももっともだ。中国は言わずと知れた監視社会。それを支えているのが、2019年時点で2億台と言われる監視カメラである。交通監視用も含めれば既に7億台近くになっているのではないかとの見方もある。日本の監視カメラは500万台と言われるが、事実だとすれば中国では2人に1台の割合でカメラが設置されていることになる。

 それも、北京や上海など大都市ばかりではない。テロ防止の名目で、チベットやウイグルなどの自治区の高原や山間部にも、カメラは張り巡らされているという。高度の顔認識技術と組み合わせれば、瞬時に“要注意人物”の動向を探ることができる。2020年には米国の超党派の上院議員らが、当時のポンペオ国務長官に「中国は、顔認識技術を利用して個々のウイグル人の特徴を分析し、民族性に基づいて分類したうえで、追跡や虐待、拘留の目的で彼らを選別している」とする書簡を送っている。

 日本の民放TVのニュースで放送される事故や犯罪の“衝撃シーン”は、中国からのものであることが多い。監視カメラの映像を使っているからである。TV局関係者によると、中国の配給会社が当局から集めた映像をビジネスとして使っているようだ。

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