ドン逮捕で開いた日大会見に文句なし 田中派の新理事長に浴びせた記者の質問に違和感
改革への道筋は十分に示された
日本大学の加藤直人学長兼理事長らが12月10日に記者会見を行った。アメフト危険タックルの時も田中英壽理事長(当時)はメディアの前に登場せず、記者会見もなかったから、今回の事件発覚後も含めて「ようやく」と言えば「ようやく」だが、田中理事長解任決議(12月3日)からちょうど1週間後。準備期間を思えば、今回の記者会見を「遅い」と非難するのは酷な気がする。一切の情報公開を止めていたのは田中前理事長だろう。その田中前理事長を解任したからこそ開ける記者会見だった。【小林信也/スポーツライター】
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加藤直人学長兼理事長は、詳細な説明に入る前に、
「重要なことを先に3点、お話をしたい」と言って、次の三つを挙げた。
「第一点です。日本大学は田中前理事長と、永久に訣別し、その影響力を排除いたします。今後一切、彼が日本大学の業務に携わることを許しません。ここに宣言いたします。
また同人の役員報酬、賞与、退職慰労金についても一切支給しないことといたします。
第二点。今回の事案の舞台となった『日本大学事業部』について、精査の上、清算を視野に対応して参ります。
第三点。外部有識者を中心とする『日本大学再生会議』を組織し、日本大学の将来について検討していくことにいたします」
私はこの宣言に、「新生・日本大学の決意」のすべてが凝縮されていると感じた。
もしこの三点が遂行され、『日本大学再生会議』が第三者の期待どおり機能すれば、田中前理事長の独裁・専横を許した組織は解体されるだろう。現時点で考えうる改革への道筋は十分に示されたと私は受け止めた。
「理事長の命の下で対応してきた」
しかし、記者会見に出席した記者たちの多くは、この三点を耳にしても日大への疑念を緩めず、質疑応答では攻撃的な質問が目立った。それは本質を見極めようとしない、批判的な態度で追求するのが仕事のように勘違いしている昨今の新聞・放送関係の記者たちにありがちな悪癖ではないかと感じた。
当然、訊ねるべき質問もあるだろう。例えば次の質問があった。
「加藤理事長が田中派だったという声もあると思うんですけれども、一連の疑惑はご存知なかったのか。その学長が新理事長になることで組織改革ができるとお考えでしょうか」
これを受けて、加藤学長兼理事長は次のように答えた。
「田中派であるかどうかという論点でございますが、『派』というのがどういう意味か私よくわかりませんけれども、業務上、学校法人の中で理事長の命に従って教学運営を行う、学長の立場としてはそういう立場でございますので、業務上においては、理事長の命の下で対応してきた。ただ個人的にどういうつながりがあったか、いわば個人的に田中理事長の言うことを聞いていたかどうかということであれば、それは否、そういう認識はございません」
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