田中英寿容疑者、日大理事長辞任も1億円以上の「慰労金」は? 関係者は「理事に損害賠償訴訟を」

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日大の助成金は満額削減か

 これは田中容疑者個人の問題だけでなく、法人としての日大のあり方の問題でもある。日大の教員のひとりが語る。

「理事は側近で固めているため、今回も本人の申し出があるまで理事会では田中氏の責任を問う声は上がりませんでした。慰労金も保留にするのがせいぜいでした。7月に逮捕された井ノ口容疑者は、アメフトの危険タックル問題で責任をとって理事を辞めたのですが、あっという間に理事に復帰して、側近として力をふるっていましたし、何と言っても田中容疑者の暴走を止められなかったのですから、理事全員の監督責任が問われてしかるべきでしょう。新しい体制になったら、学校側が前の理事に対して、善管注意義務違反で損害賠償訴訟を起こしてもいいのではないかと思います」

 危険タックル問題から不祥事が相次いで明るみに出たが、監督官庁である文部科学省は何をやっていたのか。文科省の中堅官僚は言う。

「アメフト問題では助成金を半分に減らす制裁を課しましたが、財政豊かな日大にとってはさほど痛手ではなかったようです。日大のガバナンスのあり方が問われたものの、井ノ口理事の再任も結果的に文科省は認めてしまった。さすがに今回は、日大の助成金は満額削減、つまりゼロになると思います。それでも甘いという指摘も出るでしょうが、それ以上厳しい処分となると学校法人の認可取り消しくらいしかありません」

 田中容疑者のような理事長の暴走を防ぐためには、学校法人の制度自体を見直す必要がある。

「学校法人ガバナンス改革会議という外部有識者の会議で議論していますが、有力な私立大学の理事長たちが軒並み反対しているようで、新しく就任した文科省の次官も腰が引けていると省内では言われています。日大のような不祥事があっても、厳しい改革はできないのではないでしょうか」

デイリー新潮編集部

2021年12月6日掲載

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