文大統領後継の「李在明」が土下座に追い込まれた「甥による交際相手とその母親メッタ刺し事件」の弁護活動

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一生をかけて償っていく

 謝罪といえば、李在明氏は25日の会見の前日、彼の甥によるデート暴力殺人事件の弁護を過去に引き受けたことについて、被害者遺族に対し「心からお詫び申し上げる」と謝罪し、土下座している。

 甥が起こしたデート暴力殺人事件とは、2006年に元交際相手の女性が住んでいた家を訪ねて凶器で女性を19回、彼女の母親を18回刺して殺害した事件のことだ。

 当時、この犯罪者の弁護を担当したのが、弁護士を引退し政治家となっていた李在明氏だった。彼は甥の1審および2審の裁判を担当し、この時、李在明氏は「衝動制御障害で心神耗弱状態にあった」と主張して甥の減刑を求めたとされている。

 李在明氏は大統領選挙を控えて、甥の犯罪が連日メディアで取り上げられ、その事件に自身も関わっていたことについて、「私のせいで苦しい過去の出来事をまた想起させたことに関してもお詫び申し上げる」「このような被害を再び起こさないために、一生をかけて償っていく気持ちで、与えられた役割に邁進していく」と謝罪し、カメラの前で土下座した。

 謝罪会見では、「一生をかけて」どのような償いをするのか明らかにされなかったが、この日の土下座だけでは終わらないようである。

弁護士を選任する余裕がなかった

 しかし、ここで疑問に思うのは「大統領としての資質を問うべく展開された報道がなければ、彼は遺族に謝罪しただろうか」という点だ。

 彼は甥の犯罪を“デート暴力重犯罪”と表現し、事件の内容については触れていない。韓国民の間でも、「そっとやり過ごすためにわざと軽い表現を使用したのではないか」と指摘されているほどだ。

 加えて彼は、自身が甥の弁護を担当することになった経緯を「甥の家族は弁護士を選任する余裕がなかったため、親族で唯一の弁護士である自分が弁論を引き受けるしかなかった」と述べた。が、弁護士費用を負担できない国民に対し無償で弁護士を斡旋する制度はもちろん存在する。今後の選挙戦では、この点も追及されることだろう。

 李在明氏は一時期、国民から絶大な人気を誇って支持率もダントツの1位を記録していたが、現在は尹錫悦氏に追い越されて大統領の座が遠のいている。韓国民は「土下座の次」について固唾を飲んで見守っている。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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