コロナ感染者激減は、日本人の体質が影響か ウイルスのコピーエラーを起こす酵素の存在

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日本に生き残る4種類の季節性コロナウイルス

 新型コロナウイルスの感染者数が激減していることについて、専門家たちは原因を相変わらず人流とワクチンに求めているが、それだけで説明がつくはずがない。4カ月周期でウイルスが増減しているというデータもあるが、そのほかにも要因があるという。

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 ウイルスの増減に周期があるとしても、第5波の減り方は、それまでの波とくらべて、極端なほど激しかった。その理由を解くカギはないだろうか。東京医科歯科大学臨床教授で、あきはばら駅クリニック院長の大和田潔医師は、

「流行波が最初から他国より小さく、第5波も急激に収束したことは、人流やワクチンだけでは説明がつきません。われわれが新型コロナに対する、なんらかの抵抗力を持っていたからだと考えています」

 と言い、こう続ける。

「日本には、冬風邪として国土に広がり生き残っている季節性コロナウイルスが、新型コロナ以外に4種類あります。大昔に日本列島にやってきて、ある程度無害化して定着したものだと考えられます。実は、過去に何回もコロナ禍があったはずで、今回は新たなコロナウイルスが拡散したと考えるのが自然です。したがって、新型コロナは今後、ほかの季節性コロナウイルスと同様に、冬風邪化して定着するか、滅んで定着しないか、どちらかの道を辿ると予想しています」

コロナの収束は若者の意識とは無関係か

 そして大和田医師は、

「どの日本人も幼少期から、季節性コロナウイルスに曝露され、免疫力をもっている。専門家は“若い人の行動変容が一定程度効果を発揮”などと言いますが、最近の街の人出を見ていると、コロナの収束は、若い人の意識とは関係がないように思います」

 と説明を加え、次のような見解を示す。

「ウイルスは遺伝子のミスコピーを訂正して増えます。一方、私たちの体内にはAPOBEC(アポベック)という、ウイルスがコピーする際にエラーを起こしやすくする酵素が存在します。この酵素活性が高い人の細胞では、コロナウイルスは自身の正しいクローンを作れず、増えにくくなります。このAPOBEC活性は、私たちアジア人やオセアニア人に多いと報告されています。先ほど、日本では大昔から何回かコロナ禍が起きていたと推察される、とお伝えしました。私は、APOBECの酵素活性が高く、肺炎に強い人間が生き残ったのではないかと思う。その子孫が私たちだと考えれば辻褄が合います」

 つまり、まとめると、

「民族として何度かのコロナ禍を乗り越えた結果、抵抗力が強い人が多い可能性があること。子供のころから、既存の季節性コロナウイルスにかかって免疫力があったこと。この地政学的な2点のアドバンテージが、第5波収束に大きく影響したのではないでしょうか」

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