「相棒」、タイトルバックの歴史 亀山薫(寺脇康文)が9話で卒業したシーズン7は異質

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3代目相棒時代

 これが3代目相棒・甲斐亨(成宮寛貴)が登場したシーズン11になると、雰囲気がガラッと変わる。オーケストラ仕様となり、壮大なイメージになった。シーズン12ではよりダイナミックなサウンドとなってサスペンス感が加わり、彼が卒業となったシーズン13ではミステリアスな方向のアレンジに。サスペンス感をより突き詰めた雰囲気になっている。

 甲斐亨が相棒だった3シーズンは映像面でもかなり凝った作りだった。11は降りしきる雨が、12は途中途中に水溜まりの映像が挿入され、最後の13は霧もしくは靄の中をさ迷いながら前に進む特命係2人の姿が描かれた。注目は亨の立ち位置だ。11と12では杉下右京の後をついていくだけだった亨が13では肩を並べて歩いているのだ。亨の成長過程を表しているかのようなオープニングである。

4代目相棒時代

 現在の4代目相棒・冠城亘(反町)になると、シーズン14ではチェス、シーズン16ではビーチフラッグ、シーズン17ではハシゴ上りというように、特命係の2人が競い合うシーンが登場する。

 17では荒れた天候のなか、天に向かって伸びる1本のハシゴを特命係の2人が競い合うように上っていく。その途中で天空から「誰か」が落下。それを目撃した右京が追うように飛び降り、続く形で冠城も地上へと飛び降りる。そして最後は天候が穏やかになるなか、2人が笑顔で合流する――というなんとも摩訶不思議な内容なのだ(落下した人物はシーズン16の最終話で特命係に左遷された青木年男(浅利陽介)ではないかという説が囁かれたが、真相は不明)。音楽テンポが速く、歴代のなかでもっともスピード感、ダイナミズムを感じさせた。

 シーズン19は解釈に困る映像だ。薄く大きな白いカーテンのような布が無数に垂れ下がるなか、特命係の2人が何かを探しているような映像で、13にやや近い印象を受けた人も多かったのでは。“迷宮感”が漂っているのである。この意味ありげな映像に重なった音楽は、これまでにないくらい壮大だった。

 この流れが一転したのが現在のシーズン20だ。昼間の大都会のビル群の前に特命係の2人が現れ、冠城が足元の砂をつかみ、投げる。するとそれが光の粒に変わり、天に舞い上がったかと思った次の瞬間、舞台は夜のビル群に変貌を遂げるという流れである。分かりやすさに加え、音楽も軽やかなアレンジになっている。シーズン4~6の雰囲気にかなり近い。節目のシーズンで“原点回帰”したということになる。

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