「林外相」に落ち着くまでの「岸田」「安倍」「麻生」「茂木」の水面下の暗闘

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茂木氏らしいと言われる思惑

 デスクが続ける。

「もちろんそれはありますね。林さんが外相になればポスト岸田の第一候補に躍り出ることになるわけで、その一方で発足したばかりの安倍派に有力な総理総裁候補は見当たらない。安倍さんの求心力にも関わりますから、その焦りはよくわかります。それに加えて、林さんは一を聞いて十を知るタイプで頭がとにかくキレる。それを引けらかすこともないのですが、安倍さんとしてはどこか面白くないようで、とにかく距離を置いてきたということもあるでしょう」

 では、茂木氏についてはどうだったのか。

「茂木さんは松本剛明さんを岸田さんに薦めていたようです。表向き、松本さんは自分(=茂木氏)同様、仕事人だから引き継ぐのに好適な人物だということでしょう。一方で本音としては、松本さんに対して“推薦しておいたから”と言えば恩が売れるという狙いがあったのではと永田町界隈では噂されています。まぁ茂木さんらしいと言えばそうですね」(同)

 最後に岸田首相の本心について。意中の人がいるならアレコレ相談せず突っ切るべきではなかったかと思う人は少なくないのではないか。

お伺いを立てるという面倒な手順を踏んだ

 そのあたり、自民党の閣僚経験者はこう評す。

「岸田さんは自身の派閥が党内第4勢力であることを踏まえ、首相経験者への連絡を欠かしていないということですね。逆に安倍、麻生の両氏も現職首相が直接連絡をくれることは嫌ではない。ああだこうだと自身の気持ちをぶつけられますからね。何も聞かれないで人事が決まるよりは聞かれた方がずっといい。最初から『林外相』で岸田さんの腹は固まっていたとしても、お伺いを立てるという面倒な手順を踏んだ岸田さんは人事のことがよくわかっているなぁと感心しました」

 聞く力とは、相手の考えを受け入れるということなのか、とりあえず聞くフリだけするということなのか、あるいは――。

デイリー新潮編集部

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